エッセイ

いくつかの思い出すエピソード 勝敗に際した際の歴史上の人のことなど

私は別に格別勝敗について考えるわけではない時でも、ときどき思い出すいくつかの勝敗に際した際の人のエピソードや姿がある。 それは心の中で、なんらかの支えや手本のような気がしている。 ひとつは、南北戦争の時に、アポマトックスでのリー将軍とグラン…

ロゴスとは何か

ヨハネ福音書およびヨハネ第一書に言うところのロゴスとは何だろうか。 永遠のいのちとしてのキリストと、実際に肉体を持って現れたキリストを区別するために、前者をロゴスと呼んだのだろう。 仏教には似た考え方があり、法身仏ないし報身仏と、応身仏とい…

「世界名作劇場に学ぶ聖書」

「世界名作劇場に学ぶ聖書」 聖書という書物は、さまざまな角度から読んではじめて少しずつ意味がわかってくる書物である。 自分一人で読んでいるとさらっと読み流してしまっている箇所も、わかりやすく文学の中でとりあげられていてはじめてはっと気づかさ…

ときどき思い出三つの人生 イクイアーノ・ダグラス・リンカーン

その人に会ったこともない、遠い時代の、遠い国の人の人生のことが、ふと時折思い出されて、自分にとってはとても大切な物語である場合は、おそらく私に限らず、多くの人にとってよくあることだと思う。 私の場合、何人かの人のことが、そうしたものである。…

ときどき思い出す三つの話 オバマ・ゴア・クリントンについて

ふと思い出す話で、なんだか人生が勇気づけられたりすることがある。 私の場合、ときどき思い出す三つの話がある。 別々の時に知った話だし、相互に関連はないけれど、たまたまアメリカの民主党の政治家の話だ。 どれも、ある種の、回心や生まれ変わりに関す…

キリストと私

あれは、昨年の三月頃のことだった。 突如、首が寝違えて、二、三日、身動きもとれないぐらい激痛に苦しんだ。 ともかく、ちょっとでも身動きすると痛くて、何もできない。 本も読めず、仕方ないので、たまたまネットで聖書の朗読の音声ファイルを見つけて、…

雑感 言葉の力および聖書について

言葉の力というのは、非常に大きいものではないかと私は思う。 結局のところ、人は言葉によって生きるし、その人の人生やいのちの形はその人が触れてきた、あるいは自ら紡いだ、選択した、言葉によって形作られるのではないか。 そう思う。 古典というものは…

今年の八月十五日に思ったこと

今日は「終戦」の日。 日本は「終戦」というけれど、戦争があの時に終ったのは日本ぐらいのものかもしれない。 世界中では「戦後」も戦争は頻発してきた。 特にイスラエルなどは、何回戦争を繰り返してきたかわからない。 正しくは日本にとっての「敗戦」と…

往生要集に出てくる不思議なエピソード

源信和尚の『往生要集』に、とても面白い話が載っていた。 玄奘三蔵の『大東西域記』からの引用らしい。 どういう話かというと、 あるところに、一人の博士がいた。 錬金術やさまざまな仙術を極めていたけれど、まだ雲に乗って移動する術は身に付けていなか…

源信の少年時代の夢の話

源信和尚は、まだ幼少の頃、ある時にこんな夢を見たそうだ。 お寺に行くと、さまざまな鏡がお堂の中に置いてあって、大きいものや小さいものや、さまざまな種類の鏡があった。 お寺のお坊さんが、その中から、源信に小さな曇った鏡を手渡した。 「自分は大き…

トラウマになったアニメ

トラウマになったアニメ… http://news.ameba.jp/20120323-853/ いまもって、いったい何というアニメだったのか作品名がわからないけれど、とても印象に残っているアニメがある。 たぶん、昭和四十年代ぐらいの古いアニメを再放送で見たのだと思うのだけれど…

作家の想像力はすごいなぁ 大江さんの『二百年の子供』に出てくる県知事について

大江健三郎の『二百年の子供』という小説は、幕末と近未来に主人公の子どもたちが時空を超えた旅をするという物語なのだけれど、 その近未来、2064年についての記述を昨日読んでいて、ちょっと驚くことがあった。 七、八年前に最初にこの本を読んだ時は、全…

雑感 一次大戦からおよそ百年経った今は

大江健三郎の『二百年の子供』という小説は、主人公の子どもたちが1864年から2064年の二百年の時の中を時空を超えて旅するという話で、主人公たちの時点から120年前と80年後の世界を垣間見る、という物語なのだけれど、 それを読んでいて、ふと、さ来年に第…

2012年の二二六の日に

今日は、二二六事件があった日。 後世、二二六事件は、三島由紀夫のように熱烈に支持する一部の人と、大半は政党政治を葬り去った暴力テロ、という見方の二つに分かれることが多いようだ。 たぶん、賛美することも、無下に切って捨てることも、どちらも必ず…

世界における日本のイメージや情報は

あまり知られていない、世界に名を残す日本人たち http://www.sinkan.jp/news/index_2507.html 実際、外国人はどう思っているのだろうかと思って、ちょっと英語で「誰が最も有名な日本人か?」ということを検索してみてみたところ、 ある掲示板には、 「おし…

「家族を大切にしない男は男ではない」

世界の「マザコン男子」最新事情 http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/girlscolumn_detail/?id=20120202-00022702-r25 イタリアの事例が載っていないのだけど、イタリアはどうなのだろう。 昔、映画の「ゴッド・ファザー」を見た時に、イタリアの男性の母親への…

成人の日 雑感

8割が「自分たちが日本変える」=国の将来は悲観−年金受給、9割不安視・新成人 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012010800068 日本の未来について16.6%が「暗い」、63.2%が「どちらかといえば暗い」と回答。理由として「政治家に期待できない…

三木清の世界史の哲学について 雑感

ある方から、先日教えていただいて知ったのだが、三木清には全集に収録されていない「支那事変の世界史的意義」という講演録がある。 『批評空間』の1998年の十月号に収録されている。 今日、図書館で読んでみたのだが、なるほど、これはなかなか解釈のむず…

布施と献血と 雑感

駅前の、よく当たると言われている宝くじ売り場に長蛇の列ができていた。 私は、並ぶのもめんどくさいし、別に買わなくてもいいやと思って歩いていたら、托鉢している曹洞宗のお坊さんがいた。 ちょうど小銭が五百円玉しかなかったので、宝くじを買ったと思…

チェコのハベル前大統領が死去、「ビロード革命」率いる

チェコのハベル前大統領が死去、「ビロード革命」率いる http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE7BI00620111219 ハベル:「おぉ、この素晴らしい光景は何だ。わが祖国にまさるとも劣らないすばらしい景色だ。」 ドゥプチェク:「やあ、待っていたよ…

北朝鮮の金正日総書記が死去

北朝鮮の金正日総書記が死去 http://mainichi.jp/select/world/news/20111220ddm001030044000c.html フセイン:「やあ、そのうち来るとは思ってたよ。その節は、スカッド・ミサイルへの協力をありがとう。」 カダフィ:「こんなところでまた君に会おうとは。…

思い出話 その4

今思えば「痛すぎる!」恋愛体験 http://news.mynavi.jp/c_career/level1/yoko/2011/12/post_1357.html そういえば、痛かった経験が私にもあった。 別に恋愛体験ではなくて、単なる失恋の思い出だけど。 高校の頃、私は男子校だったのだけれど、通学電車の中…

伊藤野枝について 雑感

伊藤野枝は、福岡の今宿という所の出身。 にもかかわらず、今宿には、全く、伊藤野枝についての碑文も顕彰碑も、生まれた場所を示す看板も何もない。 要するに、何の史跡めぐりの手がかりもない。 そのことに、先日、ちょっとその地をめぐってみようと思って…

十二月八日とイラク戦争と 雑感

いつも思うのだけれど、日本の誇りや愛国ということを口にする人々は、どうして戦後アメリカに対して額づくばかりだった自民党にはまずもってほとんど文句を言うことがないのだろう。 日本が誇りをなくし、自信を喪失した最大の理由は、自民の対米従属にある…

不殺生ということについて 祖父の思い出から

うちの祖父は戦時中、七年間も中国に兵隊として駆り出されていたそうである。 と言っても、自動車の免許を持っていたため、後方の補給部隊に配属となり、基本的にはあまり前線に行くことはなかったそうだ。 そのおかげか、一度も祖父は人を殺さずに済んだそ…

祖父から聴いた十二月八日開戦の日の思い出

亡くなった祖父が、生前話してくれたこと。 祖父は中国戦線にずっと行っていた。 真珠湾攻撃があった日には、部隊に集合がかかってみんな整列し、本日米英と戦闘状態に入った、ということが上官から伝えられたそうである。 異様な緊張感がはりつめていたそう…

雑感 「海ゆかば」

「海ゆかば」をふと聴きたくなって、youtubeで聴いてみた。誰かがそこに、軍歌ではなく鎮魂歌だ、とコメントしていたけれど、本当にそうだと思う。勇ましい軍歌では少しもなく、静かな、悲しい曲だと思う。このような歌が軍歌として当時歌われたことが、なん…

乃木将軍について 雑感

昨日、NHKドラマ「坂の上の雲」がちょうど旅順攻防戦だった。 それを見ていて、あらためて思った。 乃木さんの抱えていたものの重さや苦しみは、本当にはかりしれなかったろう。 大本営は現場を知らずに勝手なことを言うばかりで、現場の苦しみを一身に背負…

雑感 「出征兵士を送る歌」

「出征兵士を送る歌」を聞くと、歌の力、あるいは歌の魔力というものをひしひしと感じる。あの時代にあまりにもぴったりというか、きっとこの歌を聴いて戦意高揚させられた人は大勢いたのだろう。なんといえばいいのだろう、このある種の晴れがましさを持っ…

いつの間にか未来に

先日、「クレープを二度食えば」という漫画を、十九年ぶりに思い出して探して手に入れて読み直した。 とてもなつかしくて、あらためて面白かった。 と、そんな感想をツイッターでつぶやいていたら、 なんと作者の方が私のつぶやきにコメントをくださった。 …