2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧
小説 「命根」 義明は、小さい頃、歴史小説が好きだった。 たくさん読んだ本の、ほとんどは忘れてしまった。 しかし、不思議と覚えている話があった。 それは、幕末において人斬りと言われた河上彦斎が、佐久間象山を暗殺した時に、「自分の命根が尽きたよう…
小説 「常民」 「常民」という言葉がある。 民俗学の用語で、柳田国男などが使っている。 特に何か特別なことはせず、一生平凡に暮らす。 そういう人々のことで、そうした人々が民俗学の対象だというのである。 隆司は、べつに民俗学にはさほど関心はないが…
小説 「ストリートビュー」 なつかしくて死にそうになる。 そんな気持ちは、誰にでもあるだろうか。 おそらく、生まれ故郷を離れた人には誰にでもわかるだろう。 幸福にもずっと生まれ育った場所に住んでいる人にはわからないかもしれない。 隆司が聖書を愛…
「コロナの春に」 つまらない。 なぜかそう思ってしまう。 朝起きても、なんとなくやる気が起こらず、ぐだぐだと過ごしてしまう。 コロナウイルスが全世界に蔓延し、一時は株価が大暴落し、このまま資本主義の終焉かとも思いきや、意外と数日で持ち直して、…