吉塚御堂

吉塚御堂の三周年法要に行った。

吉塚御堂は、今までその存在すら知らなかったのだけれど、吉塚商店街の一角にある多文化共生のお寺で、ベトナムミャンマー・日本の仏教徒の各宗派の方々が協力して建立し維持している。

友人のOさんから今日の法要をお知らせいただき、行ってみたところ、気さくなこじんまりした感じで、部外者の私も別け隔てなく参加させていただいた。

神戸から来たベトナム人のお坊さんと、門司の平和パゴダのミャンマー人のお坊さんと、吉塚西林寺という浄土真宗のお寺のお坊さんが、順番でそれぞれの宗派の御経を唱えておられた。

ベトナム語のお経ははじめて聞いたけれど、朗々とした声の明るい節回しの御経で、意味はぜんぜんわからないけれど、なんだかありがたかった。

ミャンマーのお坊さんのお経は、十二因縁のパーリ語の箇所など一部分だけはわかった。

日本のお坊さんは無量寿経の重誓偈を唱えておられた。

敬虔な感じのミャンマー人やベトナム人の在家の信者さんたちが熱心にお参りされていた。

浄土真宗のお坊さんが少しお話されて、二十年以上カンボジアの支援をされているそうなのだけれど、カンボジアに行った時にカンボジアの最も偉いお坊さんにお会いすることができて、その時、それぞれの国の仏教が違った形や解釈があるのは当然で、大切なのは心であり、お互いを尊重し良いところを学び合えば良い、というお話を聞いて、とても感銘を受けたことがあったそうである。

その時に感銘を受けた思いから、吉塚御堂の建立に関わるようになり、共生・共習をめざし、今に至る、というお話だった。

お話を聞いて、宗教や宗派の違いで争ったりすることがこの世界には絶えないが、そのカンボジアのお坊さんのお話のように、それぞれの違いを認め良いところを学びあえれば、それが一番良いように思われた。

法要のあと、ぜんざいのお振る舞いもあり、おいしかった。

また、ベトナム人の神戸のお坊さんからは、参加者全員に5円玉が入っているというかわいい封筒のプレゼントも配られ、お坊さんが布施をもらうばかりではなくお坊さんの方からもお布施があるとは、日本ではあまり見られない、良い風習のように思われた。

それにしても、近所に住んでいても、ぜんぜん知らないこんな場所があるのだなぁ。

末永く、ベトナムミャンマーの方々の心のよりどころとして続いて欲しい場所と思われた。