古居みずえ『ガーダ 女たちのパレスチナ』を読んで

古居みずえ『ガーダ 女たちのパレスチナ』読了。

 

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いろんなパレスチナ人のおばあさんたちの人生の聞き書きが収録されている。
読んでいて、なんだか本当に気の毒になった。
彼女たちにとっては、突然わけもわからず戦争に巻き込まれ、家族を失ったり故郷を離れて苦しいばかりの人生だったことが伝わってきた。

その中に、トルコ統治時代はけっこうひどくて、それよりはイギリスが幾分マシだったという記述があって、へーそうだったんだと思った。
また、1948年以前のユダヤ人とは仲良くしていたこともあったことが記されていた。
しかし、二度のインティファーダで、そのたびごとに大きく雰囲気が変わっていったようである。

イスラエル側からすれば、アラブ諸国が仕掛けた戦争や、その後はテロや自爆テロと必死に闘ってきたわけだけど、戦争に巻き込まれるパレスチナ人女性たちは、本当突然わけもわからず大変な目に巻き込まれるという感覚だったんだろうなぁと思う。

また、ガーダというわりと若い世代の女性の話も載っていて、ガザのパレスチナ人の世界は、未だにけっこう男尊女卑が強くて女性は窮屈な慣習が根強いようである。
日本からは考えられないぐらいそうした圧力が強いようである。

読んでいて思ったのは、とてつもない暴力の応酬がずっと続いていて、大半のパレスチナの女性はただやむをえず右往左往するだけの長い年月ということである。
テロがやめばイスラエルも報復しないのだろうけれど、長年の恨みからテロを仕掛けて、報復で倍返しというのがずっと続いているパターンのようである。

いつになったら終わるのかわからないが、この本に書いてあるように、実際にユダヤ人とパレスチナ人が出会って言葉を交わせば、ガーダとイスラエルの警察官や語学学校の仲間たちが多少は心が通ったように、相手を人間としてみなすふうに変わっていくのだろうか。
それがあまりにも難しいことのように思える本だった。

この本は、イスラエルの2005年のガザ撤退の前の話で、ちょうどガザ撤退があって、これから希望が持てるような話も最後にちらっとあったのだけれど、それから19年、とんでもない事態になっていることを考えると、希望はどこにあるのだろうかと暗澹たる思いがする。