「信じること働くこと カーター自伝」を読んで

『信じること働くこと カーター自伝』を読み終わった。 第三十九代アメリカ大統領のカーターの自伝である。 本書は政治的な回顧録ではなく、もっぱら著者のキリスト教信仰についての本で、信仰を軸にした人生経験の回想が綴られている。 読んでいて思ったの…

手島佑郎『ユダヤ教の霊性 ハシディズムのこころ』を読んで

手島佑郎『ユダヤ教の霊性 ハシディズムのこころ』を読み終わった。とても興味深く、良い本だった。 ハシディズムとは18世紀に起こったユダヤ神秘主義だということぐらいは知っていたが、その詳しい内容はどうも今までよくわからなかったので、本書を通して…

加藤直樹『九月、東京の路上で -1923年関東大震災・ジェノサイドの残響』を読んで

加藤直樹『九月、東京の路上で -1923年関東大震災・ジェノサイドの残響』(ころから、2014年)を読み終わった。 関東大震災の時に行われた、いわゆる朝鮮人虐殺について書かれた本である。 読みながら、ただただ、ひどい、としか言いようがなかった。 この…

2020年の8月15日に思ったこと

今日は8月15日。 戦後75年の節目で、戦後50年から四半世紀も経ったことを思うと、ある種の感慨があった。 戦後50年の時、私は高校生で、それなりに一応真面目だったのか、岩波文庫の『きけわだつみのこえ』や、色川大吉などの昭和史の本を随分と真剣に読んだ…

都知事選の結果を見ての感想

今回の都知事選を見て、宇都宮氏の応援ということで、立憲民主党と共産党がしっかり協力していたことは、過去の都知事選における民主系・共産系の動向を考えると、かなり画期的なことだったと思う。 今後の国政選挙においても、両党の連携協力を築いていく上…

オバマさんの最近のスピーチ

オバマ前大統領の今年卒業する若者へのメッセージ。 とても良かった。 コロナで露呈したのは、私たちの社会と民主主義は、互いを思いやってこそ機能するものだということ。 三つ助言したいことは、 1、恐れないこと。 2、自分は正しいと信じること。 3、…

泥さんの命日

今日は、泥憲和さんの命日。 もう三年になる。 またいつかあの世で会った時に、少しはきちんと報告できる材料をそろえるために、生きている間は泥さんのようにしっかり生きていこうと思う。 泥さんは日本国憲法をとても愛していた。 苦労人だったので、憲法…

賀川豊彦関連の映画・動画

現在、賀川豊彦記念館が旧館ということで、いくつかの映画・動画を無料公開している。 http://www.kirishin.com/2020/04/25/42574/?fbclid=IwAR1PVLUkulmhgMBgTlbWmwyUN2qLuw0fcAU3pd6PMBxP58VqAe2n8y96_xE ということで、せっかくなので四つとも見てみた。 …

BBC 「スリランカ フランシス神父を捜して」を見て

昨日、以前録画していたBBCの「スリランカ フランシス神父を捜して」という番組を見た。 2009年に失踪したカトリックの神父のフランシス・ジョゼフさんについての番組だった。 去年作成された番組である。 試しに検索したところ、日本語のサイトは、ほと…

小説 「ある友人の思い出」

先日、なんとも不思議なことがあった。 たぶん誰も信じないだろうが、私のある思い出が、全く存在しなかったという事実である。 その場合、私の記憶は、いったいどうなるのだろうか。 私が大学生の頃、B君という友人がいた。 思い出は、このB君に関わるこ…

東京五輪は中止せざるを得ないだろう

先日、海外のニュース番組を見ていたら、コロナウイルスのワクチン製造には、おそらく1年半~2年はかかると報じていた。現在、世界各国の医療機関が各国政府のバックアップのもと全力でワクチン製造にとりかかっているらしい。通常、なんらかのウイルスの…

小説 「命根」

小説 「命根」 義明は、小さい頃、歴史小説が好きだった。 たくさん読んだ本の、ほとんどは忘れてしまった。 しかし、不思議と覚えている話があった。 それは、幕末において人斬りと言われた河上彦斎が、佐久間象山を暗殺した時に、「自分の命根が尽きたよう…

小説 「常民」

小説 「常民」 「常民」という言葉がある。 民俗学の用語で、柳田国男などが使っている。 特に何か特別なことはせず、一生平凡に暮らす。 そういう人々のことで、そうした人々が民俗学の対象だというのである。 隆司は、べつに民俗学にはさほど関心はないが…

小説 「ストリートビュー」

小説 「ストリートビュー」 なつかしくて死にそうになる。 そんな気持ちは、誰にでもあるだろうか。 おそらく、生まれ故郷を離れた人には誰にでもわかるだろう。 幸福にもずっと生まれ育った場所に住んでいる人にはわからないかもしれない。 隆司が聖書を愛…

小説 「コロナの春に」

「コロナの春に」 つまらない。 なぜかそう思ってしまう。 朝起きても、なんとなくやる気が起こらず、ぐだぐだと過ごしてしまう。 コロナウイルスが全世界に蔓延し、一時は株価が大暴落し、このまま資本主義の終焉かとも思いきや、意外と数日で持ち直して、…

雑感 二二六について

ネットをたまたま見ていたら、阿南惟幾が、当時陸軍幼年学校の生徒に、二二六事件を批判した訓話という文章が載っていた。 阿南惟幾の二二六事件批判 http://www.jas21.com/athenaeum/athenaeum69.htm 現代語訳はこちら。 http://nezu621.blog7.fc2.com/blog…

山本七平『洪思翊中将の処刑』

山本七平『洪思翊中将の処刑』を読み終わった。洪思翊中将の処刑〈上〉 (ちくま文庫)作者: 山本七平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/10メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (10件) を見る洪恩翊中将の処刑〈下〉 (ちくま文庫)作者: 山…

鴎外随筆集

鴎外随筆集 (岩波文庫)作者: 森鴎外,千葉俊二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/11/16メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見るとても良い一冊だった。一種のResignationを持ちながらも、自由に、正直に生きようとする、そのバランス感覚が、お…

「森鴎外 (明治の文学 14巻)」

森鴎外 (明治の文学)作者: 森鴎外,坪内祐三,川本三郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2000/10/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る森鴎外の「田楽豆腐」や「花子」や「桟橋」は面白かった。 特に「田楽豆腐」はなかなか良い作品と思う。…

「森鴎外 ちくま日本文学全集〈025〉」

森鴎外 ちくま日本文学全集〈025〉/森鴎外作者: 森鴎外出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1992/02メディア: 文庫この商品を含むブログを見る「安井夫人」などの名作や、「大発見」や「鼠坂」など、なかなか考えさせられる森鴎外の短編の傑作が収録。 チョイ…

森鴎外 「山椒大夫・高瀬舟」

山椒大夫・高瀬舟 (新潮文庫)作者: 森鴎外出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/06メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 81回この商品を含むブログ (90件) を見る森鴎外の短編集。 本当に珠玉の名作の数々と思う。

映画 「アンナと女王」

アンナと王様(特別編) [DVD]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン発売日: 2015/12/18メディア: DVDこの商品を含むブログを見るなかなか面白かった。 さすがハリウッドらしく、衣装が豪華だった。 タイの文化も興味深い…

雑感

北朝鮮が水爆を開発した以上、戦争は無理で、少なくとも当面は共存を図るしかないのではないか。 だというのに、韓国の文政権以外、あまり緊張緩和に努めている様子が各国に、特に日本の政府に見えないのは、どうしたことかと首をかしげる。 北朝鮮としては…

里中満智子 「あした輝く」

あした輝く 1巻作者: 里中満智子出版社/メーカー: 里中プロダクション発売日: 2014/11/10メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るたまたまブックオフで一冊108円で全三巻が売っていたので、買って帰った。 私が生れる前の作品で、少女マンガの王道とい…

豊田穣 「名将宮崎繁三郎―不敗、最前線指揮官の生涯」

名将宮崎繁三郎―不敗、最前線指揮官の生涯 (光人社NF文庫)作者: 豊田穣出版社/メーカー: 光人社発売日: 2012/01/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログを見るだいぶ昔から本棚に置いてあったのだけれど、なかなか読めずにいた。 今年…

戦争中の資料展を見て

先日、戦争中の資料展が近所であってて見た。いろんな戦時中の資料が展示してあってなかなか面白かった。 中でも、戦時中の写真を集めたスクラップブックを自由に閲覧できて、とても面白かった。 その中の、古い戦時中の新聞を見ていたら、大泉黒石という人…

ドキュメント番組 「失われた大隊を救出せよ」 442連隊

今日、以前録画していた、「失われた大隊を救出せよ」というドキュメント番組を見た。http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115177/index.html 第二次世界大戦中に活躍した、アメリカの日系人部隊・442連隊についてのドキュメントである。 442連隊は…

「ヒストリエ」10巻

ヒストリエ(10) (アフタヌーンKC)作者: 岩明均出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/03/23メディア: コミックこの商品を含むブログ (9件) を見る面白かった。 続きが楽しみである。

萩尾望都 「山へ行く」

山へ行く (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)作者: 萩尾望都出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/06/26メディア: コミック購入: 2人 クリック: 31回この商品を含むブログ (65件) を見るすばらしい一冊だった。 並みの小説よりはるかに読み応え…

姜尚中ほか「デモクラシーの冒険」

デモクラシーの冒険 (集英社新書)作者: テッサ・モーリス-スズキ,姜尚中出版社/メーカー: 集英社発売日: 2004/11/17メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (32件) を見る十三年前に出た本だが、今も変わらぬ、というか、かえってひどくなってい…