現在、賀川豊彦記念館が旧館ということで、いくつかの映画・動画を無料公開している。
ということで、せっかくなので四つとも見てみた。
ひとつは、賀川豊彦原作の『一粒の麦』という映画。。
1931年の映画で、かなり古い映画だが、なかなかほろりとさせられる映画だった。
父親が飲んだくれで、兄は強盗で逮捕され、姉は心中し、弟は障害があり、自分自身も奉公先で窃盗をしてしまった主人公が、牧師や近所の親切な人との出会いをきっかけに立ち直り、村の禁酒運動や立体農業運動に参加し、叔父の家で知り合った若い女工さんと恋に落ちる。
その女性は、主人公を追っかけてきて結婚することになる。主人公に召集令状が届いて、満州事変に駆り出される。
その間、妻は献身的に主人公の母たちを支え、家事と仕事に尽くすが、無理がたたって肺病となる。
もうすぐ除隊となる主人公の夢枕に現れ、時を同じくして妻の死を告げる電報が主人公のもとに届く。
帰郷した主人公は、妻がすでにいないことを悲しむが、一粒の麦の聖書の言葉を思い出す、という物語。
戦前には、わりとよくあるような境遇だったのかもしれない。
「一粒の麦、
地に落ちて死なずば一粒にてあらん。
死ねば多くの実を結ぶべし。」
「隣人を愛する心、
郷土を愛する心、
神を愛する心、
この三つで自分を建て直し、
村を社会を建て直すことができるのです。」
もう一つは、賀川豊彦の生涯を描いた映画『死線を越えて』である。
賀川豊彦の妻ハルの役を若い頃の黒木瞳が演じていた。
賀川豊彦は今はあまりとりあげられることが少ないような気もするけれど、本当に多岐に渡る活躍をした、その時代において最も愛と正義に生きた稀有な人物だったと思う。
また、5月6日までの公開で、賀川豊彦記念館に行ったときに流れる映像がyoutubeに公開されている。
一度、行ったときに見たかすかな記憶がある。
あらためて見ると、8分ぐらいによくまとめてあって、良い動画と思う。
本当、あの時代の最も偉大な日本人と思う。