- 作者: 萩尾望都
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/10/01
- メディア: 文庫
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自分にとっては、本当に特別な作品になったと思う。
もちろん、自分はこの主人公のような悲惨な体験はないのだけれど、いくつか身につまされるというか、とても考えさせられるところがあった。
一人の人の心の傷やゆがみというのは、その人だけのものではなくて、家族といういわば運命の共同体の、何世代にも渡る傷や物語があってのものなのだろう。
そして、一人の人がもし再び立ち直ることができるならば、それは自分だけでなく、家族や自分の周りの人も本当の意味で救っていくことになるのだと思う。
ラストの、愛するという試みをもう一度始めようと主人公が思うところは、胸打たれた。
自分もなんというか、いくつかの失恋をするうちに、心がひからびて人を愛するなんてもう無理かもなぁという気が若干していたけれど、愛するという試みをちょっとずつでもまたいつか始めることができたらなぁと思う。
良い作品だった。