雲井龍雄の「俚謡」と「俗謡」をタイピングしてみた。
これは、折々に雲井がつくった、おそらくは当時の三味線などにあわせて歌ったもので、漢詩と比べてかなりくだけた感じがする。
これらを見ていると、意外とくだけた、しゃれた面もあった人だったのかもしれない。
雲井龍雄 「俚謡」
(玉栄禅師に別るとて)
問はれては 何と答へん 行先を
雲と水とに 寄するこの身は
(人の西国に帰るを送るとて)
播磨潟 帰る船路に 啼くほととぎす
君の寝覚めの旅衣 褰(かか)げて いづこ望むらん
花洛の空か 故郷か
※
雪と梅 雪が薫るか 薫るは梅か
まよひますのは君ゆゑに
くらむ心は 真のやみ
月のあかりで 照したい
好きと好き いとし可愛の 心と心
浮くも沈むも しら浪の
うずまく瀬戸に をし鳥の
つがひは しばし離るとも
結ぶ縁は 切れやせぬ
雲井龍雄 「俗謡」
暗き夜みちに 桜をしらげ
赤き心を 墨でかく
いのちをしむな 死なざア殺す
大和だましひ 持ちながら
人の為なら 土蔵も庫(くら)も
君のためなら 身も骨も