- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1982/11
- メディア: 文庫
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もともとは幕府の世を終わらせて王政復古の世を目指していたにもかかわらず、あまりにも横暴な薩摩の振舞に憤激。
奥羽列藩同盟において官軍と戦い、必死に時勢に抗う。
明治になってからは、薩長が権力を恣にする政府に対して激烈な批判を展開。
かつての旧幕軍の人々の世話をするうちに、だんだんと反政府の人々の中心人物になっていく。
そして、政府がでっちあげた無実の罪によって断罪されていく・・・。
そんな、時流や権力に抗い続けた、雲井龍雄の生涯を、渋い筆致で描き出した、とてもすぐれた歴史小説と思います。
ちょっと、これほど渋い小説はなかなかないのではないでしょうか。
雲井龍雄は、詩人としてもとてもすぐれた人物であり、小説の中でも端々に雲井の詩が引用されています。
この小説を通して、雲井龍雄に興味を持ったり、その詩の魅力にひとりでも多く目覚めれば、藤沢周平さんや雲井龍雄もいかばかり喜ぶことかと思われます^^
幕末好きな人、漢詩好きな人、気骨ある人間が好きな人、義に生きる人が好きな人、武士道やサムライが好きな人、
すべからく読むべき一冊です。
雲井龍雄の生涯は、結局、志半ばで、武運拙く負け続けた生涯だったのかもしれませんが、その情熱と軌跡は、必ずこの小説を読んだ人の心に必ず何か名状しがたい情熱や感情を掻き立てると思います。