詩 「ある冬の日に」

詩 「ある冬の日に」



心からの喜びというものを、
自分はいったいいつ感じたろう。
疲れを澱のように貯めながら、
日々をなんとかこなすばかり。
死なない程度に心に気晴らしを頬張り、
生きるほどには喜びもない。
皆そのようなものだと言い聞かせ、
灰色の日々をやり過ごしていく。
あぁ、自分も灰色の大人のひとりなのだと、
ふと気づく冬の日。
救いはどこにもなく、
変わり映えもしない。
世界の終末も革命もなく、
あるのはカエルがゆっくりと煮殺されていくような、
そんなこの現代日本の現実のみだ。
そんな中で、
私に一体何ができるだろう?
「舌存す、何ぞ縦横を妨げん。」
雲井龍雄が言ったように、
言葉があるならば、
この現実や思いをただ言葉にしていくだけでも、
私の縦横は妨げられない、
私の自由はある。