メモ 菅さんが昨年東電本社に乗り込んだ時の訓示

昨年三月十五日に、菅さんが東電本社に乗り込んだ時に話した「訓示」の全文をあらためて読んだ。
本当に胸を打たれる内容だと思う。




「前首相訓示全文」


今回のことの重大性は皆さんが一番分っていると思う。
政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある。私が本部長、海江田大臣と清水社長が副本部長ということになった。


これは2号機だけの話ではない。
2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機。
さらに福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。


これらを放棄した場合、何ヶ月後かにはすべての原発、核廃棄物が崩壊して、放射能を発することになる。
チェルノブイリの二〜三倍のものが十基、二十基と合わさる。
日本の国が成立しなくなる。


何としても、命懸けでこの状況を押さえ込まない限りは、撤退して黙って見過ごすことはできない。


そんなことをすれば、外国が「自分たちがやる」と言い出しかねない。


皆さんが当事者です。
命を懸けて下さい。
逃げても逃げ切れない。


情報伝達が遅いし、不正確だ。
しかも間違っている。
皆さん、萎縮しないでくれ。
必要な情報を上げてくれ。


目の前のこととともに、五時間先、十時間先、一日先、一週間先を読み行動することが大事だ。
金がいくらかかっても構わない。
東電がやるしかない。


日本がつぶれるかもしれない時に、撤退はあり得ない。


会長、社長も覚悟を決めてくれ。
六十歳以上が現地に行けばよい。
自分はその覚悟でやる。


撤退はあり得ない。
撤退したら東電は必ずつぶれる。


東京新聞 2011年九月九日付)





私はこの訓示は、歴史に残るものだと思う。


もしこの時に、菅さんがこの訓示をせず、東電に乗り込まず、なあなあで流されて、撤退していたら、首都圏三千万人の移住という最悪の事態も十分ありえたと思う。


実際、メドベージェフは、震災直後、日本に対して大量の日本人の移民をシベリアに受け入れるという表明をしていた。
外から見た場合、事態の深刻さがよく見えていたということだろう。


この国難を回避できたのは、ひとえに菅さんのこの時の行動、そして言葉のおかげ。
その意味で、歴史を動かした言葉の一つだと思う。


しかも、この訓示、もうだいぶ前に報道されてたのに、今さら一部を切り取って非難したり揶揄するような報道が最近なされていた。


いいかげん、メディアのありかたとそれに簡単に煽動される世論は、そろそろ考え直した方がいいのではなかろうか。