「日本がもっとも危なかった87時間」(日テレ「1000年後に残したい 100の映像SP 2011」)を見て

日テレであっていた特集番組「1000年後に残したい 100の映像SP 2011」を見た。
http://www.ntv.co.jp/1000nengo/


とてもよく取材してあって、本当に良い番組だった。


東日本大震災による東北の津波を、その瞬間のさまざまな映像や体験者の証言から際限されており、あらためてあの時の津波地震の光景に、絶句した。
黙示録のような、あるいは末法そのもののような光景。
日本は、今年、本当にとてつもない出来事に遭遇したのだとあらためて思う。


あれほどの大変な状況の中、命をかけて他の方向から迫ってくる洪水に気付いていない人を助けた人の話や、奇跡的に助かった人々の話などあって、とても胸打たれた。
人間はやはりすごいと思う。


また、さまざまな証言から再構成した「日本がもっとも危なかった87時間」というドラマが番組の中であった。
大震災からの首相官邸の様子を再現したドラマだったけれど、とてもよくできていた。


ドラマを見ながら、菅さんがあの時の首相で、そして吉田さんが福島第一原発の所長で、本当に良かったと思った。
この二人があの時あの立場にいたというのは、本当に不幸中の幸いだった。
もし他の人であれば、日本は滅びていたかもしれない。
斑目さんや東電の清水社長のような人物ばかりであれば、まず確実に日本は最悪の事態になっていたように思われる。


東電が、べつに菅総理が指示したわけでもないのに、勝手に右往左往して海水注入の中止を吉田所長に指示したことは、本当になんという恐ろしいことだろうかとあらためて思った。
吉田所長が独断で海水注入を本社の命令に背いて続行したから良かったものの、なんというとんでもない無責任な命令だろうか。
また、官邸が東電のそうした迷走を把握していなかったということも、なんとも恐ろしいことである。
吉田所長の海水注入が必要だと具申したFAXが、官邸に届いていたのに、菅総理たちの首脳に上げられておらず、菅総理たちが把握していなかったというのも、本当に恐ろしい事態と思う。
やはり、東電の会社としてのありかたと、官邸の内部の官僚たちの組織やありかたを、かえすがえすもきちんと検証し、正すべきだろう。


ろくに情報が東電からあがってこず、かつ意志の統一もできない状況において、苦しみながら菅さんも枝野さんもギリギリのところでよく決断し、指揮したなあとあらためて思った。
そして、3月15日の時点で、東電に乗り込んで統合本部をつくったことは、本当によくやったと思う。
これがもう少し遅れていたら、どうなっていたか。


また、東電が撤退を、このドラマでは少なくとも二回、以前あったNスペでは五回も撤退の申し入れをしたと聞くが、それを断固として菅さんが退けて、撤退はありえない、とはっきりと決断してくれたおかげで、今の日本はなんとかあるのだと思う。

首都圏を含めて、もし撤退して、福島第一・第二原発がすべて爆発していれば、三千万人が移住せざるを得なかったという。


日本の歴史上の指導者の中でも、あの87時間の間の菅総理は、最も重いものを双肩に担ってよく決断した指導者だったと言えるだろう。


菅さんの気魄と吉田さんの気力が、本当にあの時の日本をからくも救ったと思う。
最後は人間だと本当に思う。


実によくできた番組だった。
できれば、また再放送したり、あるいはネット上に公開されて多くの人が見れるようになって欲しいものだ。