功徳はなぜ廻向できるの?―先祖供養・施餓鬼・お盆・彼岸の真意
- 作者: 藤本晃
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 単行本
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パーリ仏典の世界をひもときながら、初期仏教における供養のあり方を探り、自業自得の法則と功徳回向が矛盾しないことを明らかにされており、とても面白かった。
回向とは、自分が何か善行為をして、その功徳を他の誰かに振り向けて分かち合いたい、と思うことらしい。
で、その回向ということ自体も善行為で、功徳になるそうだ。
したがって、誰かが、何かの善行為をして、さらに回向を心がけると、功徳は倍増とのことである。
一方、功徳が回向される相手の方は、主に餓鬼道に住む場合は、特に効果があるようだ。
ただし、天界にいる場合には不要だし、地獄に住む場合には回向が届かないということになるらしい。
なぜ、餓鬼道などの生命が、回向された功徳によって救われるのかというと、それは「随喜」によるそうである。
つまり、他の人がなした善行為に、共鳴して、共鳴することによって自分自身の心にその善行為の功徳のエネルギーが生じることによって、自業自得の法則に反することなく、救われていくということらしい。
随喜というのは、共感・共鳴とのこと。
なるほどーっと思った。
いろいろ、考えさせられる、面白い本だった。