ワールド・トレード・センター

ワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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救出作業中に地下に閉じ込められて、瀕死の重傷を負いながらずっと助けを待ち続けた二人の人の、実話をもとにした映画らしい。
いい作品だったと思う。
思わず涙。

にしても、ちょっと、911っていうのは破壊がひどすぎたと改めて思う。
一般民間人がこれほど無差別に巻き込まれるというのは、どう考えても正当化しようがないだろう。

とはいえ、アメリカは、東京や広島・長崎で、ベトナムで、アフガンやイラクで、911以上の破壊と殺戮を繰り返してきた。
これで人の痛みがわかるようになればいいのだけれど。
どうもそうはならずに今に至っているようではある。

にしても、この映画を見てて、元海兵隊員で、神の呼び声が聞こえた気がすると言って、個人的に単身ツインタワーの破壊された瓦礫の跡に来て、被害者がいないか見て周り、主人公二人が地下に埋まっているのを発見する人物がいるのだけれど、こういうエピソードを見ていると、神みたいな存在は本当にいるのだろうかと考えさせられる。
主人公のうちのひとりも、救出が来なくて意識が朦朧とした時に、臨死体験みたいなのでキリストみたいな姿が見えたらしい。
神がいるかどうかは別にして、何か第六感や、そんな気がするといった感じの直感みたいなのは確かにあるのかもしれない。

あと、「助け合い」の大切さや価値を、映画のラストのナレーションでも強調していたのだけれど、本当は、これといってカタストロフィや危険のない時も、人は誰でも老病死に直面しているのだから、助け合いや相互扶助の心を持つ方が良いのだろう。
ただ、悲しいかな、地震やテロにでも遭わない限り、あんまり平和で恵まれていると、助け合いや相互扶助ということを忘れてしまうところに、人間の愚かさや悲しさがあるのだろう。

少々突き放したことを言えば、アメリカがもし、世界全体に対して、もっと早くに相互扶助や助け合いの心を持ち行動で示していれば、かくも世界から憎まれることもなく、このようにひどいテロにも遭わずに済んだかもしれない。
また、911以後も、自国内の助け合いに止まり、視野が自国の内部にしか向かずにいれば、あまり何も業が変わらず、かえってますます報復戦争によって悪業を積んで、いずれなんらかの報いを受けるのかもしれない。

にしても、ツインタワーでは2700名ぐらいの犠牲者がいて、無事救出されたのはたった二十数名だったらしい。
ちょっと人が死にすぎだと思う。
その後のアフガンやイラクでも、人が死にすぎた。

二十一世紀初頭の、この悲劇で、もうそろそろ暴力の連鎖は打ち止めにして、悲しみや痛みの共有や、人の弱さや脆さや老病死の直面への認識から、ちょっとは相互扶助の方向に梶を切れればいいのだけれど。