絵本 「せかいでいちばんうつくしいぼくの村」

せかいいちうつくしいぼくの村 (えほんはともだち)

せかいいちうつくしいぼくの村 (えほんはともだち)


心にのこる良い絵本だった。

この絵本は、最後のページまでは、ほとんどずっと、平和なのどかな、ある村の男の子とそのお父さんが、果物を町に売りに行き、そのお金で羊を飼って村に帰る様子が描かれる。

ただし、その主人公の男の子のお兄さんが戦争に行っていて、人手が足りないことだけは少しだけ触れられる。

どこの国なのか、中央アジアっぽい感じではあるけれど、と思いながら、最後のページでは、その村が空爆で今はなくなってしまったこと、その国がアフガニスタンであることが語られ、胸がつぶれる思いがした。

この絵本が出版されたのは1995年。
その後、タリバンによる制圧や、911後のアメリカ軍の空爆、米軍の駐留や非タリバンの政権樹立があった。

かつてこの絵本に描かれたような、美しい平和な村は、いつ本当によみがえるのだろう。

中村哲さんたちのように、黙々とずっとアフガンを支え続けてきた人々の苦労にも、あらためて思いが馳せられた。

いろんなことを考えさせられる、多くの人に読んで欲しい一冊。