
- 作者: 小林豊
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1995/12/01
- メディア: 大型本
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心にのこる良い絵本だった。
この絵本は、最後のページまでは、ほとんどずっと、平和なのどかな、ある村の男の子とそのお父さんが、果物を町に売りに行き、そのお金で羊を飼って村に帰る様子が描かれる。
ただし、その主人公の男の子のお兄さんが戦争に行っていて、人手が足りないことだけは少しだけ触れられる。
どこの国なのか、中央アジアっぽい感じではあるけれど、と思いながら、最後のページでは、その村が空爆で今はなくなってしまったこと、その国がアフガニスタンであることが語られ、胸がつぶれる思いがした。
この絵本が出版されたのは1995年。
その後、タリバンによる制圧や、911後のアメリカ軍の空爆、米軍の駐留や非タリバンの政権樹立があった。
かつてこの絵本に描かれたような、美しい平和な村は、いつ本当によみがえるのだろう。
中村哲さんたちのように、黙々とずっとアフガンを支え続けてきた人々の苦労にも、あらためて思いが馳せられた。
いろんなことを考えさせられる、多くの人に読んで欲しい一冊。