フィンランドの教育事情とデンマークの福祉事情

フィランドの教育事情とデンマークの福祉事情についての講演があったので、聴きに行った。


両方とも、とても面白い話だった。
北欧の教育や福祉のありかたはすばらしいなあとあらためて感嘆。
特に、デンマークの事例には、本当に感銘を受けた。


デンマークだと、たとえばある筋ジストロフィーの患者さんの場合、ヘルパーを五人雇っているそうで、その費用はすべて自治体と国が支払ってくれるそうである。
旅行費も、自治体や国が出してくれるそうだ。
その他、本当に一人ひとりを大切にした社会をデンマークはつくっていることが、多くの事例から本当にうかがわれた。


しかも、国の財政でいえば、日本よりはるかにデンマークは良いらしく、負債の割合ははるかに日本よりマシらしい。
もちろん、高福祉のかわりに税金も高いようだが、国民の幸福度は非常に高いそうだ。


どうしてかくも日本とデンマークは違うのか。
講師の方に質問してみた。
すると、デンマーク人は非常に民主主義や主権在民に熱心だそうで、日本は制度上はともかくとして、民主主義や主権在民についての教育や理解の差ではないかとの御話だった。なるほど〜っ…。
民主主義や主権在民ということへの理解や熱心さや教育の違いは、実はこれほど大きな福祉や生活や幸福度や安心の違いを生じるとすれば、これはやっぱり、日本ももう一度、民主主義や主権在民ということについて真剣に考え直した方がいいのかもなぁ。


デンマークでは、非常にみんな政治にも熱心で、高校生でけっこう熱心に自分の考えを語るそうである。
無関心や悪口雑言や無責任が蔓延する日本の政界やマスコミや世論と、だいぶ違うのかもしれない。


フィンランドの教育事情も興味深く、最近はPISAの数値で上海に負けたりもしているそうだが、それでも依然として非常に高いレベルがPISAでも実証されているそうだし、何よりもフィンランドは落ちこぼれがほとんどおらず、教育の格差が他の国と比べてもとても少ないそうだ。
少人数学級で、早期の対応と徹底したフォローで、平等を大事にした教育だそうである。
また、競争を嫌う風土が強く、競争よりも個性や自主性を平等に伸ばすことを尊ぶそうである。
講師の方に、フィンランドではそうした教育が実現でき、日本ではなかなか公的支出を教育に出すのをしぶる風土があるのはなぜかと質問してみたら、フィンランドでは「社会」が子どもを育て、「社会」が個々人の人生にも責任を持つ、という「社会」についての意識が日本よりも強いためではないかとのことだった。


もちろん、フィンランドデンマークも、人間の集まっている社会なので、いろんな問題もあって、良いことばかりではないようだし、最近は変化もあるのだろうけれど、平等や個性を重んじるフィンランドの教育や、一人ひとりを大切にするデンマークの福祉のありかたは、特に震災後の日本にとって、本当に幸せな社会、本当に安心できる安全な社会とは何か、大きな示唆を与えてくれるように思われた。