ホフマン 「カバラー心理学」

カバラー心理学―ユダヤ教神秘主義入門

カバラー心理学―ユダヤ教神秘主義入門


ユダヤ神秘主義、つまりカバラは、現代の心理学にも有益な内容を多く含む。
という観点から書かれた本。


この本によれば、カバラは、宇宙は意味のある全体であり、相互に影響しあっているものととらえている。
これは、現代のホーリズムなどの、トランスパーソナル心理学の知見と一致している。


さらに、共時性や、人生における意味のある符合を重視するという点で、ユング心理学とも相通じる。


こういったことを考えると、カバラは非常に現代人に役立つ、新鮮な内容に満ちているとのこと。


「上の如く、下も然り」という言葉が、カバラのゾハールに書かれている。
これは、目に見えない広大なネットワークがこの宇宙にはあるということ。
カバラでは、人間は皆、天界に根を持つ生命の樹のひとつひとつの芽だと考える。
発出・想像・形成・行動の四つの世界を経て、この現実世界のすべてのものは生み出されており、それをカバラ四界という。


ヘブライ語では、瞑想のことをドゥヴェクートというそうだけれど、主に三つの種類の瞑想がカバラにはあるそうである。


1、ヘブライ文字に集中し、連想を働かせたり、聖書の中の語句の文字を入れ替えて言葉遊びをする。
2、生命の樹を観想する。
3、祈祷書や聖書の祈りの言葉を朗読して、意識を集中する。


なるほどと思う。


これらを通し、


・注意の方向付け。集中の訓練。
・自我の滅却(社会から押し付けられた人格特性の枠をとってみる)
・自発的な表現手段


といったことを訓練するようである。


カバラにおいては、人は、通常、聖なる源泉から離れてしまっているそうで、それをどうやって再び結びつけるかということが課題らしい。
また、これらの瞑想が深まり、深い意識に達すると、人生を大局的な見地から見ることができるようになるそうである。


また、夢と音楽をとても重視し、夢解釈や、不吉な夢を見た時は夢断食といって断食して反省したりするそうだ。
また、美しい音楽は癒しの力があると考え、音楽や歌をとても重視するそうである。
音楽には霊力があると考えるそうだ。


ラビ・ナフマンの、


「あなたが何をする人であろうと、常に心を喜びで満たしておきなさい。」


「幸福な気持ちでいれば、人に活力を与えられるからだ。」


「熱中していなくても、そういうふりをしなさい。やがて、本当に熱中するものだ。」


などの言葉も、なるほどーっと思った。



カバラの歴史のわかりやすいまとめと紹介も、ためになった。