ビショフ 「カバラQ&A」

カバラQ&A―ユダヤ神秘主義入門

カバラQ&A―ユダヤ神秘主義入門


原書は百年ぐらい前に書かれた本だそうだけれど、けっこう面白かった。
Q&A形式で、わかりやすくカバラ、つまりユダヤ神秘主義について解説してあった。

カバラは、形而上学人間学・文字神秘主義の三つから成り立っていること。


一者は万物ではないが、他のあらゆるもののために存在する。

ツィム・ツム(神の自己限定)。神が自らを修正すること。

無限なるものが有限なものへ移行するために、わずかに劣った光として、セフィロトの過程を経ること。

カバラにおいては、物質界は、純粋な存在が欠けた、原初エネルギーが弱まっただけのもので、いわばオフの世界というだけで、一者が流出してできているという点では、一者と断絶しているわけではない。

人間は倫理的自由を持っており、より良い行いを選択することで、より高い精神的領域へ上がっていくことができる。

などなどのカバラの理論は興味深かった。

また、ホクマーは理論理性、ビナーは実践理性と整理してあり、なるほどと思った。

また、カバラにおいては、輪廻転生を信じているそうで、完全を求めて、霊魂は輪廻転生すると考えるそうである。

また、主霊魂と準霊魂という考え方があり、他の人の霊が準霊魂となって、今生きている別の主霊魂の持ち主に、助けたり、あるいは邪魔する形で、一緒になる場合があると考えるそうだ。

さらに、賢者や偉大な人の魂は、閃光となって、いろんな人の魂に入っていく場合があると考えるそうである。

ゾーハルでは、父・母・子の三つの原理で弁証法を考えているという話も面白かった。

デカルトスピノザ、ピコデラミランデラ、ロイヒリンやローゼンロート、パラケルススベーメなど、西洋の思想家に大きな影響をカバラは与えたそうである。

ゲマトリアやノタリコンやテムラと呼ばれる、文字遊びや暗号解読の手法も興味深かった。

カバラは本当に奥深い、不思議な領域だと思う。