- 作者: エーリヒビショフ,Erich Bischoff,林睦子
- 出版社/メーカー: 三交社
- 発売日: 1995/05
- メディア: 単行本
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原書は百年ぐらい前に書かれた本だそうだけれど、けっこう面白かった。
Q&A形式で、わかりやすくカバラ、つまりユダヤ神秘主義について解説してあった。
カバラは、形而上学・人間学・文字神秘主義の三つから成り立っていること。
一者は万物ではないが、他のあらゆるもののために存在する。
ツィム・ツム(神の自己限定)。神が自らを修正すること。
無限なるものが有限なものへ移行するために、わずかに劣った光として、セフィロトの過程を経ること。
カバラにおいては、物質界は、純粋な存在が欠けた、原初エネルギーが弱まっただけのもので、いわばオフの世界というだけで、一者が流出してできているという点では、一者と断絶しているわけではない。
人間は倫理的自由を持っており、より良い行いを選択することで、より高い精神的領域へ上がっていくことができる。
などなどのカバラの理論は興味深かった。
また、ホクマーは理論理性、ビナーは実践理性と整理してあり、なるほどと思った。
また、カバラにおいては、輪廻転生を信じているそうで、完全を求めて、霊魂は輪廻転生すると考えるそうである。
また、主霊魂と準霊魂という考え方があり、他の人の霊が準霊魂となって、今生きている別の主霊魂の持ち主に、助けたり、あるいは邪魔する形で、一緒になる場合があると考えるそうだ。
さらに、賢者や偉大な人の魂は、閃光となって、いろんな人の魂に入っていく場合があると考えるそうである。
ゾーハルでは、父・母・子の三つの原理で弁証法を考えているという話も面白かった。
デカルトやスピノザ、ピコデラミランデラ、ロイヒリンやローゼンロート、パラケルススやベーメなど、西洋の思想家に大きな影響をカバラは与えたそうである。
ゲマトリアやノタリコンやテムラと呼ばれる、文字遊びや暗号解読の手法も興味深かった。
カバラは本当に奥深い、不思議な領域だと思う。