- 作者: アリストテレス,牛田徳子
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2001/02/01
- メディア: 単行本
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だいぶ前に一度読んで、最近また読み返したのだけれど、あらためて本当にすごい本だと思った。
一般的な教科書の知識だと、六政体分類や共通善ということがアリストテレスの政治学について言われる。
もちろん、それらのことも書かれてはいるけれど、実際はもっと奥が深く複雑だ。
政体の分類も、本当は六政体ではなく、もっと多岐に渡る。
また、共通善や、善く生きるためにはポリスが必要、といった倫理的な理想が説かれる部分もたしかにある一方で、たとえば五巻の後半では、僭主制を維持するためのさまざまなノウハウが説かれ、まるでマキャヴェリをはるかに先取りするような政治的リアリズムと術策が説かれる。
また、国制は創設するよりも維持する方が難しく、大切であるという観点から、いかにして国制を維持するかについても力説してあり、とかくそうした地道な政治よりも、パフォーマンスや破壊に傾いて、とっかえひっかえ短命政権ばかり繰り返している日本人は、今こそアリストテレスによくよく耳を傾けるべきかもしれないと読みながら思えた。
政治学においては、とかくデータの収集か、あるいは理念的な観点から現実を批判するかは、両極端になりやすく、地道にさまざまな現実や事例を集めて分類し、それを踏まえた上で、なおかつしっかりと理念や哲学を持って現実を批判的に吟味するというのは至難の業であるが、アリストテレスはその点、まさに手本とすべき、本当にすごい思索力と思考力だとあらためてとても感心・感動させられた。
有象無象の本を読むより、このような真実の古典をこそ、人は丹念に読むべきかもしれないし、そうしてこそ、本当に思索力も鍛えられるのだと思う。