現代語私訳 善導大師 「般舟讃」(念仏讃歌) 第八節
「観無量寿経讃歌」
「簡略な讃歌」
専ら『無量寿経・阿弥陀経』と「観無量寿経」の教えを読むべきです、
(浄土への往生を願います)
どの文章にもどの語句にも、西方浄土が説かれています、
(はかりしれない喜びよ)
この地球を支える宝石の幔幕は無数です、
(浄土への往生を願います)
八つの方角の宝の幔幕はすべて完全で光輝いています、
(はかりしれない喜びよ)
何万億もの宝石がお互いに映り合って、
(浄土への往生を願います)
それぞれにすぐれた光景を次々に現しています、
(はかりしれない喜びよ)
上には、さまざまな宝石が荘厳し、地面を照らして、
(浄土への往生を願います)
さまざまな宝石の色が太陽を百個、あるいは千個合わせたよりも明るく輝いています、
(はかりしれない喜びよ)
その身からは純粋な金色の光明が放たれ、
(浄土への往生を願います)
足は宝石でできた地面を踏み、少しずつ歩いていきます、
(はかりしれない喜びよ)
この生と死の二つを離れた悟りの、宝石でできた国の地を得たことは、
(浄土への往生を願います)
すべて、阿弥陀如来の本願の働きのおかげです、
(はかりしれない喜びよ)
あらゆる時において悟りの教えを聞きます、
(浄土への往生を願います)
煩悩や罪業による妨げが起こる原因となるものはありません、
(はかりしれない喜びよ)
菩薩たちが先生や友人となり、
(浄土への往生を願います)
手をとりあって導いて七つの宝石でできたお堂に入らせてくれます、
(はかりしれない喜びよ)
どの瞬間の思いにおいても仏法の喜びを受けて、
(浄土への往生を願います)
ほんの短い間に百や千もの教えを理解し悟ります、
(はかりしれない喜びよ)
このお堂に集まって仏法を聴いている人々は、心をひとつにして、娑婆世界を厭いなさい、
(浄土への往生を願います)
御本願の働きに乗れば、阿弥陀如来を見ることになります、
(はかりしれない喜びよ)
しかし、思いはからうならば、心の底は痛み苦しみ、
(浄土への往生を願います)
はかりしれないほどの長い時間、いたずらに疲労することになります、
(はかりしれない喜びよ)
今、この身が浄土のみ教えを聞くことができたことをよろこびます、
(浄土への往生を願います)
この身を惜しまずに、西方浄土に往生しましょう、
(はかりしれない喜びよ)
西方浄土は、楽しみと喜びに満ちた、悟りの場所です、
(浄土への往生を願います)
天界や人間の世界はとても比べものになりません、
(はかりしれない喜びよ)
他化自在天の素晴らしさを何億万倍にしても、
(浄土への往生を願います)
西方浄土の人のたった一つの姿にも及びません、
(はかりしれない喜びよ)
仏の具える三十二相を具え、神通は自由自在です、
(浄土への往生を願います)
身体から放たれる光は、あまねく十方の世界を照らします、
(はかりしれない喜びよ)
世の中の帝王から天界の最高の位である他化自在天に到るまで、
(浄土への往生を願います)
それらのどの世界よりも、浄土の音楽は何億万倍もすぐれています、
(はかりしれない喜びよ)
阿弥陀如来の国土の宝石でできた林の木木の枝が触れ合う時に奏でられる音楽には、
(浄土への往生を願います)
他化自在天の音楽はその一つにも及びません、
(はかりしれない喜びよ)
時には、供養のためのかぐわしい香りの風が起こり、
(浄土への往生を願います)
その風が樹木を吹き渡れば、花びらが飛び、宝の池に舞い降りていきます、
(はかりしれない喜びよ)
宝石でできた樹木から飛んだ花びらは、八功徳水に舞い散って広がります、
(浄土への往生を願います)
浄土の子どもたちはその花びらを汲み取って舟にします、
(はかりしれない喜びよ)
その花の舟に乗って、宝の池の中にある蓮の花の上の御法座に加わります、
(浄土への往生を願います)
その中に入ると、仏の化身が、菩薩の衣を与えて着せてくれます、
(はかりしれない喜びよ)
それぞれにお香や花を手に持ってみ仏の前に立ち、
(浄土への往生を願います)
それぞれに少しずつ持っている花びらを空中に散じれば、それが変化して雲になります、
(はかりしれない喜びよ)
この宝の雲は空中にかかる天蓋となって荘厳し、
(浄土への往生を願います)
宝の樹木になった果実が与えられ、食べさせてくれます、
(はかりしれない喜びよ)
往生を導いてくれる先生に出遇い、
(浄土への往生を願います)
浄土と阿弥陀如来という名を聞くことができます、
(はかりしれない喜びよ)
仏の本願の働きによってここに来てお互いに出遇うことができます、
(浄土への往生を願います)
常に西方浄土に住み、迷いの輪廻の世界に帰る必要はなくなります、
(はかりしれない喜びよ)
仏法の仲間たちと一緒に林の中に入って見てみれば、
(浄土への往生を願います)
足もとの地面の光輝きは、太陽や月を超えた明るさです、
(はかりしれない喜びよ)
集まっている菩薩の数の多さは限りがありません、
(浄土への往生を願います)
それぞれに身体から光を放ってお互いに照らし合っています、
(はかりしれない喜びよ)
新しく浄土に往生してきた人々も、純粋な金色です、
(浄土への往生を願います)
さまざまな浄土に集まっている人々と、純粋な金色という点で異なることがありません、
(はかりしれない喜びよ)
ある者は、宝石でできた楼閣に入り、大勢の人々の中に坐ります、
(浄土への往生を願います)
大勢の人々はその姿を見てみんな喜びます、
(はかりしれない喜びよ)
さまざまな美しい荘厳はすべて知り尽くすことができないほどです、
(浄土への往生を願います)
浄土の内側も外側もなんの妨げもなく自由に観察することができます、
(はかりしれない喜びよ)
歩く足をとめてたたずめば、すぐに仏法の喜びを享受します、
(浄土への往生を願います)
高度な集中状態と、生と死の二つを離れた悟りとを、自然に会得し悟ります、
(はかりしれない喜びよ)