小沢一郎さんを支持する人たちの中には、多くの立派な人がいることもよく知っている。
また、小沢さん本人も、毀誉褒貶はあるものの、2009年の政権交代を成し遂げたことは本当にすごいと思うし、小選挙区制や今の日本の国会のありかたなど、平成の日本の制度に大きく関わってきた、この時代において最も興味深い大きな足跡をのこした政治家だと思う。
ただ、私が疑問なのは、ある種の小沢派のありかたである。
彼らは、日本はアメリカに支配されており、そのアメリカの支配から脱するための反米愛国者が小沢さんであり、菅総理は隷米・対米従属主義だそうで、アメリカや菅総理に対してあらんかぎりの悪意と悪罵を向けている。
しかし、小沢さんが反米主義者であるという証拠はどこにもない。
だいたい、小沢さんが主導してつくった2009年度民主党マニフェストに、以下の一節がある。
22ページの7の51
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○米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を促進し、貿易・投資の自由化を進める。その際、食の安全・安定供給、食料自給率の向上、国内農業・農村の振興などを損なうことは行わない。
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http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/
2009年度のマニフェストに、すでに日米FTAを推進すると書いてある。
そう指摘すると、ある種の反米小沢派は、このマニフェストは小沢派と前原派のせめぎあいでできたもので、この箇所は前原派の思想が混在したもの、などと事実無根なことを言い出す。
しかし、それらの人々は、小沢さんの基本政策を本当に知っているのか甚だ疑問である。
なぜならば、小沢さん自身の基本政策に、以下のように明記されている。
http://www.ozawa-ichiro.jp/policy/run_for_ipolicy_0609.htm
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真の日米同盟の確立
日米両国の相互信頼関係を築き、対等な真の日米同盟を確立する。そのために、わが国はわが国自身の外交戦略を構築し、日本の主張を明確にする。また、日本は国際社会において米国と役割を分担しながら、その責任を積極的に果たしていく。さらに、真の日米同盟の確立を促進するために、米国と自由貿易協定(FTA)を早期に締結し、あらゆる分野で自由化を推進する。
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これが小沢さんの基本政策である。
一部の社会党くずれの中高年が、事実も何も知らずに妄想を小沢さんに投影し、ただ妄想を小沢さんに投影するだけならばまだしも、菅総理に対して事実無根の誹謗中傷と悪意を向けて、この日本の大事な時に、電力利権や自民党の片棒を担いで菅総理を引きずりおろす言動ばかりする。
そうした状況を見ていると、なんともうんざりし、残念でならない。
おそらくは、小沢さん本人にとっても、有難迷惑、あるいは迷惑そのもののことではないのだろうか。