「増税 先送りより進取の一歩を」

復興増税先送り論批判 経財相
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2011071500373



今日(7月15日付)の西日本新聞の「社会時評」に、高村薫さんが「増税 先送りより進取の一歩を」というコラムを書いておられた。
とても共感させられる文章だった。


「どのみち先行きは厳しく、早期の増税も不可避なのであれば、ここは子どもたちの未来のために、私たちが決断をして進取の一歩を踏み出すべきときではないのかと、心底思う。」


という一文に、たしかにそのとおりと思った。


増税は誰でも嫌なことである。


しかし、現状でも天文学的な数字の国債を、なおかつ増やし続ければ、いずれは限界に達することは誰でも本当はわかることだ。


ギリシャ財政破綻がいかに深刻な事態を引き起こしたか。
対岸の火事と思って他人事ととしてはならない。


先日、6月30日には、与謝野さんが中心になってとりまとめた、「社会保障・税一体改革成案」が出された。


なぜかあんまりきちんと報道されないが、その内容は、子育て支援、若者雇用対策、高額療養費の見直しによる負担軽減、社会保険制度における低所得者対策の強化、資産課税の強化で資産再分配機能を回復などを明確に打ち出した画期的なものだと思う。


小泉改革以来の、格差社会の進行やゆがみを是正するための、画期的な政策方針だと思う。


社会保障・税一体改革成案」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/syakaihosyou/kentohonbu/pdf/230630kettei.pdf


与謝野さんは誤解の多い人だと思うが、何もむやみに増税をしようと言っているわけではない。
しっかりとした社会保障制度の充実と維持のために、現在の世代が責任を持って、福祉の充実と財政再建のために税負担をしていこうという話である。


税を「負担」とひたすらみなして嫌がるか。
あるいは、「分担」とみなして、社会保障のために担っていくか。


どちらも、選択肢としてはありえる。


ただ、前者を選ぶならば、社会保障・福祉は大きく削減していかねばならない。


与謝野さんの「税は国会議員が政治生命を懸けてつくるもの」という言葉は全くそのとおりである。
同時に、有権者・国民にとっても、そのようなものだと思う。
政治家の言葉を、国民の側も命がけで受けとめ、支持、あるいは拒否すべきである。
そのためには、きちんと、今いかなる政策が出されてあり、どのような課題があるのか、正確に理解し、知ることが大事だと思う。


短絡的に増税か先送りか、というよりは、「社会保障・税一体改革成案」の内容をきちんと把握して、それについて支持するのか反対するのか、また国家財政の先行きについてどう考えるのか、そうした議論を、国民も、ただ政治家にまかせるのでなく各自で行うことが大事だと私は思う。


単純な話、日本には三つしか選択肢はない
http://d.hatena.ne.jp/elkoravolo/20110703/1309663250