我々の目の前にある二つの選択肢 

我々は、たぶん、いつも二つの選択肢の中にいるのだと思う。


悪質な無責任なデマゴギーと、理性と礼節の言葉と。


財政に関し、問題の先送りと、苦くとも問題を今解決していこうとすることと。


分裂や不和を煽る言葉と、協力と一致の言葉を語る言葉と。


我々はもはや前者にはこりごりなのではないか。


どの党派にも、前者の人もいれば、後者の人もいる。
忘れてはならないのは、我々はどの党派であるか、何を結論とするかであるより、前者と後者のどちらを選択するかということである。
前者は不毛であり、破滅への道である。
後者は、問題を解決し、日本を復興させるための条件である。


無責任にただ政権をこきおろし、短命政権ばかり繰り返すことはいいかげんにやめた方が良い。
我々はこの国の部外者でもなく、お客でもなく、当事者だ。
統治を批判すればいいものではなく、統治に参加している一員だ。
この二十年の失敗と蹉跌で、もう十分、教訓は学んだはずではないか。


民主党であろうと、自民党であろうと、生活党であろうと、共産党であろうと、どの党派であろうと、我々は日本という国の一員であり、税と財政に責任を分かち持つ。


税を負担とばかり思うのでなく、分担と心得、将来を破滅させる国債の乱発ではなく、今ここで税と社会保障に責任を持つこと。


それこそが、良心であり、責任であり、同時代と将来世代への愛であり、真心ではないか。


無責任な政府へのこきおろしと、問題の将来への先送りには、もういいかげんに我々はうんざりし、飽き果てたはずだ。
分裂には飽き、協力をこそ本当は今の日本は求めている。
悪意や中傷ではなく、建設的な対案と協力こそ、各人が最高度の知性と良心と責任感を持って工夫すべきことだ。


短命政権ばかりの際限ない繰り返しではなく、安定した政治的統合の実現こそ、各人がわが事として、他人事ではなく、いまその実現を心から願い、努力すべきだ。
そうでなければ、また我々は「失われた二十年」が「失われた三十年」「失われた四十年」となる道を辿ることになる。


マスコミにもネットにも、悪意と悪罵の声ばかりが満ちている。
もちろん、中にはそれだけではない、宝石のような善意やことばもある。
我々がいま一番闘うべきことなのは、他でもない、無責任や悪意や悪罵や分裂だ。
少しでも、協力と協調と安定した政治的統合の実現をわが事として、そのための建設的な言葉を紡ぐことだ。


そのためには、まずは批判するにしろ、支持するにしろ、我々の国の首相の言葉にきちんと耳を傾けよう。
悪意ある憶測ではなく、耳を傾けた上での、事実の検討を各自の理性でなしていこう。
批判するならば礼節をもって、そしてのその目的はより良く問題を解決し、協力するためにこそ。


すでに公務員の給与は7.8%減らされた。
新規の採用枠も大幅に減らされる。
国会議員の議員歳費も二年間で540万円が減額されることになった。
マニフェストの公務員人件費二割削減や無駄の削減のために、現政権はすでに多大な努力をしている。


一部の悪質なプロパガンダは、現政権はあたかも何の努力もせず、国民に増税負担ばかりを強い、自らは何の血も流さず、社会保障の改革は何もしていないかのように言っている。
大嘘もいいところだ。


そもそも、2009年マニフェストには消費税を上げないなどと一言も書かれておらず、2010年マニフェストには消費税協議を進めると明記してあるので、マニフェストに忠実ならば消費税の法整備を進めなければならないのに、消費税増税マニフェスト違反だなどという大嘘をついている人々が大勢いて、しかもそれらの人々はその虚偽を全く恥じることもない。


我々は、無責任と虚偽ではなく、同時代と後世への責任と現実と事実に基づいた政治をこそ選択しなければならない。


野田さんは言った。
「「負担なくして給付なしです。誰かが負担をしなければ給付はありません(略)今までは将来の世代にツケを回すやり方をしてまいりました。でも「今さえよければいい」という無責任な事はもうやめるべきだと私は思います」
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/discource/20120217message.html 


確かにそのとおりだ。
それは財政だけでなく、原発も含めたことだが、我々はもはや「今さえよければよい」ということをやめなければならない。


そのためには、菅さんが言う通り、「消費税はYES, 原発はNO!」(http://amba.to/SFR1zk) とこそ我々は言うべきである。


もはや偽りの維新や偽りの革新や偽りの改革ごっこではなく、地道な責任ある、是々非々の態度をこそ政治に対して持たねばならない。
壊し屋や分裂ではなく、建設と協調こそを心がけるべき時だ。


首相をスーパーマンか、自分たちの機嫌をとってくれる執事か、店員か何かと勘違いするのはもういいかげんにやめよう。
私たちが選んだ国会議員が、国会で正当な手続きで選んだのが、私たちの国、日本の首相である。
つまり、私たち自身が、選ぶことに関わっているのが、わが国の首相である。


次の選挙では、民主党はおそらく惨敗するだろう。
しかし、せめてもそれまでの間、きっちりと、せっかくの政権交代でできた現政権に、良い仕事をやってもらえるように、罵倒ではなく声援を、悪意ではなく信頼を、足の引っ張り合いやバッシングではない協力を、支持をこそ、全ての政策ではないとしても、部分的な政策においてはできる範囲で各自がなすべきではないか。


自民党政権に良いところもあれば悪い所もあったように、民主党政権にも悪い所もあれば良いところもある。
それをどちらかだけに言うのは、いかなる場合でも間違っている。


なるほど、脱原発については、野田政権は一層の努力が必要だし、早急に中長期的な脱原発へのビジョンや方策を打ち出す必要がある。
しかし、税と社会保障に関しては、日本がギリシャ危機の二の舞を踏まないために、2033年に予測される年金の破綻を防ぐために、できる範囲で全力を尽くしている。
足りない部分があれば、具体的な建設的な対案を出し、サポートすればいいだけの話だ。


小児病的壊し屋ではなく、今こそ我々は大人の政治の国となろう。
我々にはそれができるはずだ。
今言うことは、無責任な批判ではなく、あえてYESということだ。