- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 単行本
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若者向けに塩野さんが話した講演をまとめた本だけれど、年齢的には大人の世代であるはずの人々が読んでも、相当に面白いと思う。
・冷静に現実を知ること。そのためには、クールな目配りを持つこと。
・情報を集めるには「磁石の棒」が必要。できれば、この磁石の棒、つまり自分の視点・観点や興味を複数持った方が良いこと。
・選択肢を常に複数持つこと。日本人はひとつの選択肢しか想定しないことが多すぎる。
・サイエンス(シェンツァ)は、観察し、考え、伝えること。他人に伝えてはじめて完成する。
・ルネサンス的教養、つまり役に立つ教養の大切さ。
・語学は道具。母国語で考える力をしっかり身につけたうえで、世界のどこでも生きていけるように道具としての語学力を身につける。
・好奇心をもつことが大事。好奇心をもって、多くの新しいものごとに触れて刺激を受ける中から独創性も生じる。
・勉強も仕事もリズムが大切。
・哲学とは、曇りない眼でみることと、自分で考えることの二つを教えるのみ。
・世代間ギャップはあたりまえで、上の世代はべつに下の世代をことさら媚びるように理解しようとする必要はないし、下の世代は上の世代に挑戦するぐらいの心構えを持っていればそれでいい。
などなどの話は、塩野さんらしいシビアなテイストで、なかなか面白かった。
本当に短い、簡単に読める一冊だけど、味わいは深い。
多くの若い人、あるいは若者というわけではない私ぐらいの世代を含めた多くの人にとって、読めばなにかしら必ずためになる本ではないかと思う。
なにせ、日本というのは本当の意味で大人な人がどうも少ない気がすることを考えれば、広く読まれてしかるべき本と思われる。