「西部戦線異状なし」


西部戦線異状なし [DVD] FRT-003

西部戦線異状なし [DVD] FRT-003


十六年ぐらい前に、一度『西部戦線異状なし』の映画を見た。
いまもう一度見た。
この映画は、何かしら、大きな影響を自分の人生に与えてきたような気はする。
言葉ではうまく説明できないような影響を。



Youtubeで見つけて、映画「西部戦線異状なし」を十数年ぶりに見終わった。
ラストシーン、思わず涙。
若者たちが振り返りながら去っていく姿が忘れられない。
彼らのことを忘れちゃならないのだろう。

この映画では、学校の先生が若者たちを焚き付けて、輝かしい栄光を夢見た若者たちが、実際の戦場の幻滅を味わう姿や、

平和な時は普通のへいこらしていた郵便配達夫のおじさんが、軍隊では人が変わったように居丈高な上官になっているのが印象的だった。
軍隊というのはそういうものなのだろうか。

塹壕で死にゆく敵軍の兵士と一緒にしばらく主人公が過ごすシーンも、とても印象的だった。

主人公が負傷し一時的に故郷に戻るシーンも、十数年前に見てとても印象的だった。
勝手な事ばかり内地で言っている大人たち。
戦争の実際を知らずに焚き付ける教授。

そして、ついさっきまで共にいた人が、急に死んでいく生死のわからなさ。

あらためて見て、1930年代の映画だが、八十年ぐらい前の映画なのだけれど、本当に胸を打つ名作だと思う。

多くの人に、あらためて見て欲しい。


最近『西部戦線異状なし』や一次大戦のドラマや動画をいっぱい見ていて思ったこと。

1、プロパガンダやムードの危険性。
2、ずさんな作戦はとりかえしがつかない被害をもたらす。
3、一度戦争に突っ込んで膠着状態になるととんでもないことになる。
4、わりをくうのは若い世代である。

ってことかな。。

あと、平和で自由に生きられるってだけで、とんでもなく恵まれたことだということだ。
水の溜まった塹壕の中で、大砲の騒音や危険の中で暮らし、鉄条網と機関銃に突撃していかなければならない暮らしからすれば、ただ平和に生きられるだけで、なんて幸せな事かと思う。

いつの世もそれなりに苦労はあるものだろうし、幸せってのは案外と気付きにくいもので、しかも人間というのは基本的に恵まれていることは忘れて不平不満を抱きがちなものだと思う。
一概にそれが悪いとは言わないが、たまには本当のロスト・ジェネレーションの苦労を思うのもいいかもしれない。





(part13まである)