小沢さんの空疎な記者会見について

小沢さんが採決反対を表明した記者会見の話が、ノーカットで八分ほどの動画でここで見ることができる。
http://www.news24.jp/articles/2012/06/21/04208077.html


空疎で、具体的内容がないと言わざるを得ない。


小沢さんは消費税に反対する理由として、以下の三つをあげている。


一、中央集権から地方分権が進んでいない。もっと徹底的に無駄を省くべき。
二、社会保障において、年金一元化や最低保障年金が実現していない。
三、不況の時に増税はダメ。


一見、もっともらしいことなので、自分で考えない人は、これを聞いてそのとおりと思う場合もあるのだろう。


しかし、これらについて、それでは具体的にどうすればいいのかという具体案を何も出さないで、こういうことを言う点が、小沢さんの一番の問題と思う。


一の地方分権についていえば、菅政権は一括交付金化を進めた。
しかし、そうした具体的な地方分権のための努力を、小沢派は菅降ろし・菅叩きに明け暮れるばかりで何も評価せず、邪魔ばかりしてきた。
漠然とした地方分権ではなく、それでは具体的に予算や権限をどうするのか、その具体的な方策を示さず、地方分権が進んでいないなどというのは、実に無責任極まりない杜撰な主張である。


二の社会保障の点だが、野田政権は年金一元化に向けて随分努力してきたが、その野田政権の足を引っ張っているのは小沢派だ。
しかも、最低保障年金には莫大な財源が必要なのに、消費税に反対しているのは小沢派である。
いったい、自分がやっていることと、社会保障についてこのようなことを言うことの矛盾をどう考えているのだろう。


三の不況の時は増税はダメだとのことだが、日本がもはや高度経済成長のような時代を迎えることはありえない。
むしろ、国債の乱発は日本の不安定要因となり、ギリシャ危機の二の舞を招きかねない。
今の日本はいわゆる「デフレ」ではなく、要素価格均等化と生産年齢人口の減少による物価下落と需要減なので、この傾向は長期にわたって今後もあり続けて、なくなることはない。
したがって、不況やデフレを理由に増税を避けていては、いつまで経っても消費税の増税はありえないことになり、その場合はただ国債の乱発しかなくなり、ギリシャ危機の二の舞を招きかねない。
そのことに関して、小沢さんは何も述べてない。
というより、そうした危機感や認識や責任感がないのだろう。


このような記者会見を見て、なおかつ自分の頭で考えず、小沢新党を支持しているような人々は、いったい本当にどこまで無責任なのかと思わざるを得ない。