好き嫌いは別にして、小泉さんの「原発増やすのは無理」発言自体はまっとう

小泉氏「原発増やすのは無理」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110529k0000m010076000c.html


その講演の全体の内容を見てみたいものだ。

この記事の中の情報から言えば、小泉さんへの好き嫌いや政権担当時代への評価は別にして、

自民党政権時代にも原発の安全性を信用して推進してきたが、過ちがあった」

原発を増やすのは無理。原発依存度を下げ、自然エネルギーの開発に力を入れるべきだ」

「既存の原発に安全対策をし、住民理解を得たものは維持、そうでない危険なものは廃炉を進めなければならない」

という発言や認識自体は、至極まっとうなものと言えるのではないか。

そして、もしそのように小泉さんが本気で思うのであれば、原発事故調査委員会を立ち上げて過去の過ちにメスを入れようとし、自然エネルギーの開発に力をそそごうとし、危険な原発の停止に努めた菅政権を擁護し、自分の後輩たちの党の党利党略や私利私欲を戒めて欲しいものだと思う。
そこまで求めるのは、ちょっと難しいか。

にしても、今思えば、小泉さんのパフォーマンスの上手さと、竹中平蔵さんや飯島勲さんのような周囲の人材の力は、政策内容の評価は別にしてリーダーシップや政治的統合の問題として見れば、非常にすごかったと思う。

菅さんは、政策や個々の事績としては良いこともやっているのだけれど、いかんせんパフォーマンスや広報が下手過ぎる。
竹中さんや飯島さんのような優れた側近にも必ずしも恵まれていないように思われる。

菅さんが、小泉政権以来の久々の長期政権になれるかどうかはまだよくわからないし、かつてないほど困難な状況や逆風の中にいるわけだけど、もし長期政権を目指すのであれば、小泉さんのパフォーマンスや情報戦略の巧みさは、多少なりとも菅さんも参考にした方が良いのではないかと思われる。

菅さんの地味で真面目で愚直なところが、菅さんの良さと言えば良さだが、よほど具眼の士でないと、マスコミや野党の悪質なデマや中傷を常に的確に見抜き、良い政策や事績をきちんとそのつど評価することは実際問題として難しい。

あんまり小泉政治のようなポピュリズム政治が望ましいかどうかは難しいところもあるが、実際問題としてこの現代日本の程度ではポピュリストしか安定した政治的統合を築けないのであれば、菅さんも小泉さんのように歯切れよく本質をとらえ民意をつかむようなキャッチフレーズやワンフレーズをうまく駆使し、イメージやパトスを広報戦略でうまく駆使することも、もうちょっと工夫して欲しいものである。