あえて言おう、年限を区切った消費税増税にYESを

■政府の消費税引き上げ案、与野党から異論相次ぐ
(読売新聞 - 04月19日 22:05)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110419-OYT1T01021.htm

復興のための年限を区切った増税はやむを得ないと思う。

負担の分かち合いとは、具体的にはこのような増税に国民が応じることを言うのではなかろうか。

実際、ただやみくもに増税に反対する与党内部の不平不満派や野党と異なり、国民の多くは復興のための増税は進んで引き受ける覚悟を示している。

毎日新聞世論調査
増税「賛成」58%、「反対」33%
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110418ddm001040064000c.html


政府が述べているように、年限を区切った時限立法で、2〜3%の消費税増税であれば、復興のためにこの国の責任感ある国民ならば進んで引き受けると思う。

税収の裏付けのない国債の乱発は、将来に禍根を残す。
S&Pやムーディーズなどの国債格付け会社は、もしこれから先、日本がこれ以上赤字国債を発行し続ければ国債の格付けを下げるとすでに以前から警告している。
また、結局国債は償還しなければならないものである。
すでにこれほどの巨額の国債を抱えている日本が、税収の裏付けもなく国債を増発すれば、大変な事態になりうる。
税金ではないという安易な感覚から復興政策についても無駄や放漫などが起こる無責任な感覚に政府や行政がなりうる危険もある。
国民の血税という重大な責任感を政府は持って、また政府がそうであるように国民も注視してこそ、責任ある復興政策は行われよう。

消費税以外の税収というのも、疑問な話だ。


この財務省の資料を見ればわかるが、

主要税目の税収推移
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/011.htm


平成19年からの法人税の税収の激減はものすごいものがある。
すでに法人税収の落ち込み方はすさまじく、もはや金額が昭和52年頃にまで戻ってしまっている。
日本の企業の中で、法人税を支払っている企業は三割しかない。
法人税は企業の利益にかかる税金のため、景気が上向きでなければ、結局あまり増えない税収である。

所得税についても、高額所得者が復興についてきちんと分担するのは私も当然と思うが、日本の人口分布を見れば、年収1000万円以上の高額所得者など全人口のごく一部である。

http://nensyu-labo.com/heikin_kakusa.htm

もし、ある程度の税収を得ようと、そこまで収入の多くない人、たとえば、500ないし600万円以上程度の収入の人の所得税率をあげるならば、結局それらの人々の負担は極めて大きくなるだろう。
そんなにその程度の収入の人の家計が必ずしも裕福とは言えないと思う。
ましてや、個人ではなく世帯としての収入にかけられる増税となる場合、負担感は大変なものになるだろう。

菅政権が消費税の増税と言うと、すぐに新自由主義だと批判する人々がいるが、そうした人々は全体の流れが何もわかっていないのではないか。

昨日に発表された年金改革の素案においても、菅政権は、高額所得者の受給額減額、厚生年金への非正規労働者の加入要件改革など、格差是正のための施策を打ち出している。
今改革しないと、年金制度は2032年に破綻すると言われているので、一元化など他の政策とともに、現政権のもと年金改革を迅速に進めるべきだろう。

年金制度改革の素案まとまる NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110419/k10015416271000.html

また、高額所得者の相続税の強化もすでに打ち出している。

こうした一連の流れを見れば、消費税のみの現象を取り出して、逆進性や新自由主義云々と菅政権を批判することは、全く当たらないと思われる。

昨今、ある種の行き過ぎた自粛ムードが問題となっている。

我々は復興のためであれば、進んで数年間の消費税の増税を引き受けて、大いに消費をすることこそ復興にも役立つと心得、負担の分かち合いと復興のための努力を、担税と消費によっても実践すべきではないか。