原子力行政 抜本的に見直しへ  菅首相の英断

「私自身、幾重かの安全な体制を組んでいるという認識で、原子力発電を肯定してきたが、そうした従来の先入観を一度すべて白紙に戻し、なぜこういう事故が起きたのか、徹底的に根本から検証する必要があると思っている」

菅首相は昨日の予算委員会においてこう述べ、安全性の確保の観点から抜本的に見直す考えを示した。

原子力行政 抜本的に見直しへ
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110418/t10015383821000.html


英断だと思う。

以前から、東電の津波想定は甘いと地震学の専門家や経産省の審議会で報告されてきたのに、原子力・安全保安院原子力安全委員会はそれらの警告を無視して、東電の甘い津波予測を了承してきた。

2006年には共産党が国会で原発津波の際の危険を指摘していたのに、結局その後の自民党および政権交代後の民主党政権は放置してきた。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-01/2010030101_05_1.html


なぜこのような原子力政策がまかり通ってきたのか。

菅首相にはぜひ、第三者機関を設置し、徹底検証を行うようにして欲しい。

なお、菅首相は、3月29日の参院予算委員会において、

「日本は太陽(光)やバイオマスなどクリーンエネルギーにもかなり力を入れてきた。それらも合わせてどうエネルギー政策をとるか、改めて議論が必要だ」

と述べていた。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110330k0000m010054000c.html

今後の復興の三つの基本方針の一つに、「地球環境と調和して人々が生活できる社会システムを樹立すること」を挙げ、クリーン・エネルギーの積極的促進と明確なビジョンを世界に発信すると先日ワシントンポストに寄稿した「回復と再生に向けた日本の道」の中で述べている。

今までの原子力政策の徹底した検証と、原子力依存からの脱却を目指す新たなエネルギー政策。

この二つを菅首相が掲げていることは、とても評価できる。

少なくとも、今までこのような原子力行政を放置してきた歴代自民党、および鳩山前首相らのグループが、自らのその責任については何も述べずに、権力闘争にばかり走り、原子力依存からの脱却もまったく論じていないことよりは、よほど未来を見据え国家国民のためを思う責任ある態度だと思う。

マスコミの一種異様な菅バッシングの中、なかなかきちんと菅首相の実際のメッセージが国民に届いていない現実はあると思うが、心ある国民は、菅首相がきちんと従来の原子力行政の徹底検証を行い、新しい大胆な復興政策・エネルギー政策を提起実行すれば、きちんと見ていると思うし信頼・支持していくと思う。

与党内部の小沢・鳩山派などの不平不満派や、野党も、第三者機関の設立による原子力行政の徹底検証や、情報発信の際のありかたなど、具体的に日本を良くする方向の提案を、首相の続投・退陣などの議論よりももっと行って欲しい。

解散総選挙には、750億円以上もの費用がかかる。
時間や労力も大変かかる。
それらの費用や時間や労力を、権力闘争にではなく、復興のために、未来の日本のために、今は与野党とも使って欲しい。

菅首相を中心に、従来の原子力行政の徹底検証と、脱原発へのエネルギー政策への努力をこそ、今は一丸となって日本は目指すべきではなかろうか。