「豚と真珠湾 幻の八重山共和国」を見て

だいぶ前に衛星第二であっていた、「豚と真珠湾 幻の八重山共和国」という劇をビデオで見た。
なかなか面白かった。
考えさせられた。


http://haiyuza.co.jp/info/butatoshinjuwan.html


八重山は、敗戦後、ほんのわずかの時期、日本の支配も米軍の支配も及ばない、自治の地域になっていたことがあったそうだ。
八重山共和国、八重山自治会、などと呼ばれる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E9%87%8D%E5%B1%B1%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BC%9A


とはいえ、すぐに米軍が進駐してくる。


戦前は自由に行き来できていた台湾とは行き来できなくなる。
日本本土は新憲法が発布されるが、八重山には適用されず、言論の自由やデモ行進の自由も必ずしも認められない。
本土ではあった農地改革も八重山では行われず、公職追放もない。
一方で、日の丸を掲揚すると逮捕されたそうだ。


米兵は強姦をしても罪は問われないのに、八重山の人には敗戦後何年も経ってから、戦時中の上官の命令によるやむをえない捕虜虐待や処刑の罪で戦犯として死刑が宣告される。


そんな中、八重山の人々が、なんとか逞しく生きている姿が描かれていた。

劇の中で言われていることで、ちょっと驚いたのは、戦前の東京には「朝鮮人琉球人はお断り」という貼り紙が張ってある場合もあったとか。
本当のことかわからないけれど、もし本当ならばなんとも驚かされる。


また、伊藤博文が、のちに日清戦争でうやむやになったけれど、アメリカからの問い合わせに応じて、沖縄本島は日本に帰属するが八重山宮古は清に属すると答えたことがあったとか。


それぐらい本国からは適当に思われているのに、敗戦などの激動期になると一番とばっちりをくらうのが、八重山などの辺境に位置する地域なのかもしれない。


国は人を殺す。故郷は人を殺さない。
国や万国の労働者というのは、具体的な顔が見えない。
大事なのは家族や故郷の具体的な顔の見える人々だ。
奴隷よりも野蛮人がいい。


そんな、劇中のメッセージには、深く考えさせられた。


国家のエゴによって振り回されず、のんびりと故郷で平和に暮らす。
そんな、人間にとってごく当たり前の願いや希望が、単なる夢まぼろしでしかないとは、二十世紀も、二十一世紀も、本当に文明の世なのだろうか。
そんなことを、あらためて考えさせられた。