ふと思い出したこと イスラエルのドキュメンタリー番組とオバマ自伝より

以前、youtubeで見たイスラエルの歴史のドキュメンタリーに出てきたおばあさんのことを、今日はふと思い出した。

イスラエルの建国の頃の歴史についてのドキュメンタリーで、多数の人がいろんな回想や証言をしていたが、その中である品の良いおばあさんが出てきて、こんな話をしていた。

ホロコーストで家族を皆失い、当時十代の後半ぐらいで身ひとつで解放された。
しばらくは何もする気がせず、打ちひしがれていた。

しかし、これで自殺したり、心が憎しみと無気力にやられて駄目な人生を送っては、それこそ本当にナチスに負けたことになる。

アイデンティティの綱をしっかり持って、自分の人生を建てることが、本当の意味で、ナチスに負けないことだ。

そう思い、大変な苦労をしてイスラエルの地に移住して、その後、仕事を見つけて必死に働くうちに、同じように家族を戦争で皆なくした男性と知り合って結婚した、

といった話だった。

名前も知らないおばあさんだし、なにせ英語で視聴した番組なので聴き間違いもあったかもしれないし、半年ぐらい前に見たので記憶もさだかではないが、

時折思い出すたびに、人生で最も大切なことをその方から教わったような気がする。

また、今日はふと、だいぶ前に読んだオバマさんの自伝の中で、オバマさんが教会である聖書の一節にとても感動して涙が止まらず回心したというシーンがあったことを思い出し、どの聖書の一節についてのことだったろうかと、手元に自伝がなかったのでネットでいろいろと検索してみた。

すると、こんな話だったようだ。

サムエル記の中にハンナの祈りという一節がある。
子どもが生まれず、つらい思いをしているハンナが、神に祈ったところ、サムエルを授かった、という話である。
その一節に関連し、その教会の牧師が、私たちは何もできない時でも祈ることはできる、希望を持って祈ることはできる、それは大きな力だ、という説教したらしい。

それを聴いて、オバマさんは、

“There is a bright side somewhere. There is a bright side somewhere. Don't you rest until you find it, for there is a bright side somewhere.”

つまり、「人生にはどこかに必ず明るい面がある。だから、それを見出すまでは、決して立ち止まってはならない。なぜなら、どこかに必ず明るい面があるのだから。」

という、祖父母がよく歌っていた歌を思いだし、涙が止まらなかった、ということらしい。

オバマさんがここであげている祖父母は、たぶん母方の白人の祖父母のことだと思われるが、この歌自体はゴスペル、つまりアフリカ系アメリカ人の黒人の間に歌い継がれてきた歌だそうだ。

やがて、この時の体験からオバマさんはある演説のテーマを思いつき、そこから一気に駆け上がっていくことになったのだけれど、この話も、人生について非常に大切なことを教わる話だと思う。

人生というのは、時に、実際には直接会ったこともない人から、非常に大切なことを教わることもしばしばあるものなのかもしれない。