「岩波訳 詩篇」

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聖書の日本語訳にはいろんな種類があるのだけれど、これはいわゆる「岩波訳」の詩篇である。


詩篇も、訳によって随分印象が変わるもので、私は日ごろは新共同訳で読んでいるのだけれど、岩波訳で読むとぜんぜん印象が違う箇所があったり、はじめて新しく新鮮な感動を受ける箇所も多々あり、とても良かった。


岩波訳は、おそらく原文に語順が似ているのだろう。
日本語としては倒置が多い印象を受けるけれど、おそらく原文の語順はそんな感じなのだと思う。
新共同訳の方が日本語としては流暢な気もするけれど、岩波訳の方が生の新鮮さが伝わってくるような気もした。
一番いいのはヘブライ語の原文で読むことなのだろうけれど、なかなかそれも難しいので、この岩波訳は本当にありがたい。


たとえば、詩篇の十八章の二十九、三十節は、今回岩波訳で読んでいて、とても新鮮な感動を受けた。


「まことにあなたがわが灯火をともす、ヤハウェよ、
わが神がわが闇を明るくする。
まことにあなたにあって私は障壁を走り抜け、
わが神にあって私は壁を飛び越える。」
(岩波訳 詩篇 第十八章 二十九、三十節)


新共同訳と口語訳だと以下のような感じで、ちょっと印象が変わってくる。


「主よ、あなたはわたしの灯を輝かし
神よ、あなたはわたしの闇を照らしてくださる。
あなたによって、わたしは敵軍を追い散らし
わたしの神によって、城壁を越える。」
(新共同訳)


「あなたはわたしのともしびをともし、
わが神、主はわたしのやみを照されます。
まことに、わたしはあなたによって敵軍を打ち破り、
わが神によって城壁をとび越えることができます。」
(口語訳)


それぞれ良さがあると思う。


思考をときほぐし、新たな発見をするために、いろんな種類の訳で読むことはとても良いことなのだろう。


今度、出エジプト記申命記箴言ヨブ記も、いろんな訳で読んでみたい。