- 作者: ポールストラザーン,Paul Strathern,浅見昇吾
- 出版社/メーカー: 青山出版社
- 発売日: 1998/04
- メディア: 単行本
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わかりやすくキルケゴールの人生や考え方がまとめてあって面白かった。
「自分自身を選ぶ」生き方。
つまり、官能的な生き方と倫理的な生き方、言い換えれば普通の生き方と、あえて自分で選んで正しく生きようとする生き方の二つの間で、常に自分自身が選ぶ意識を持って生きること。
物事への態度、つまり自分自身の価値観こそが重要であり、そのような主体的な真理こそが大事だと考え、ヘーゲルを批判したこと。
などなど、あらためて、とても興味深かった。
著者がまとめているように、無神論のサルトルより、ある意味、時代としては前に属するけれど、不安の克服には「信仰の飛躍」が不可欠というキルケゴールのありかたは、後世の実存主義にはない要素がある。
それが、私にとっては、むしろ魅力的な気もした。
自分を創造し、主体的な真理を生きようとすることは、今日も、いや、今日ますます、極めて難しいことかもしれない。
ヘッセの『デミアン』とも相通じるテーマだと思うが、このようなテーマは、なおかつ、今日も、心ある人々によって、安易に絶望してしまわずに、受け継がれ、問われ続けるべきテーマなのかもしれない。
いや、べきということはなく、要は自分がそれを問いたいと思うかが大事なのだろう。