コーヘン 「タルムード入門 三巻」

タルムード入門〈3〉

タルムード入門〈3〉



とても面白かった。
タルムードの中の、悪霊についての記述や、魔除けの話。
さらには、ユダヤ法や法廷の話。
そして、天国と地獄の話が、この巻には載っている。


魔除けには、シェマーや、出エジプト記十五章二十六節、詩編九十一章五節、九節、申命記二十八章十節、イザヤ書五十二章十九節が良いと考えられていた、という話は興味深かった。

また、夢は預言の六十分の一と考えられ、解釈されていない夢は読まれていない手紙だと考えられ、神意を伝える大切なメッセージとタルムードでは考えられているそうである。


ユダヤ法では、状況証拠だけでは認められず、必ず目撃証言が必要とされたことや、極刑には聖書に照らして非常に大きな責任が伴うことを繰り返し警告されているということが興味深かった。


また、メシアについて、タルムードには多くの言及があり、ユダヤ人は黄金時代を過去ではなく未来に来るものと考えていたことや、メシアが来れば生産力が飛躍的に向上すると考えられたこと、「メシアの生みの苦しみ」つまりメシアが来る前は大きな苦しい時代があるという考えがあったことや、悔悛と善い行いはメシア到来を早めると考えたこと、失われた十部族が再起し結集すると考えられたことなど、興味深かった。
また、エルサレムの再建や神殿の再建もメシア到来に先立つと考えられたそうである。
世界創造の前に七つのものが創造された、それがトーラー・悔悛・エデンの園ゲヘナ・栄光の玉座・神殿・メシアの名だった、ということも面白かった。


また、パリサイ派は再生や来世を信じ、サドカイ派は否定したこと。
詩編145章を一日に三度唱えると来たる世の息子として祝福されること、イスラエルの土地を四キュビト歩けば来たる世に迎えられること、などのタルムードの記述も面白かった。


この世界はエデンの広さの六十分の一、エデンはゲヘナの六十分の一。


エデン(天国)もゲヘナ(地獄)もそれぞれ七層構造。
地獄は、シェオール、アバドン、死の陰、地下界、忘却の地、ゲヘナ、沈黙の七層。
天国は、御前、庭、家、幕屋、聖なる山、主の山、聖所の七層。


普通の火は、ゲヘナの火の六十分の一。
極悪人以外は、割礼を受けた人はゲヘナに落ちずに済む。
安息日のみ、ゲヘナの人々も刑を受けずに済む。


エデンの園(天国)には、六十万の天使がいて、七階級の義人がおり、310の世界があって、50万種の果物がある。


などなどの記述は、とても面白かった。