- 作者: トーマスレーメル,矢島文夫,Thomas R¨omer,遠藤ゆかり
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: 単行本
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モーゼに関するいろんな絵画や彫刻の写真が豊富に散りばめられていて、その点は良い本だった。
また、アッシリアのサルゴン王伝説とモーゼの生い立ちの共通点の指摘は興味深かった。
また、古代エジプトには、何人もモーセ(ヘブライ語のモーシェ)という名前の人物がおり、この名前はエジプト語であることは間違いないとのこと。
そして、三人ほど、エジプトの歴史上にも大きなインパクトを与えたその名前の人物がおり、中でもセティ2世の時代の人物の別名バイというモーセは、ひょっとしたら聖書のモーセのことではないかと推測されるらしい。
また、杖が蛇に変わるエピソードは、当時中東地域には蛇を神として祀る信仰が多くあったのに対し、蛇神よりも燃える柴から話かけた唯一神が優先するということを伝えるためのエピソードという解釈も、なるほどと思った。
また、黄金の牛は、おそらく、エホバの乗り物としての牛の信仰がかつてあり、その乗り物をエホバと同一視する傾向があって、それが戒められるようになったのではないか、という推測があるそうで興味深かった。
フロイトの、やや突飛なモーゼ解釈の話も、私はかなり首をかしげるか、それはそれとして興味深かった。
また、著者が言うには、スーパーマンもモーゼの現代的な翻案だと解釈できるとのこと。
実際はどうかわからないが、興味深かった。
モーゼは、各時代を通じて、やはり多くの人に、インスピレーションや勇気やテーマを与えてきたのだろう。
あらためて興味深い人物と思う。