ハーマン・ウォーク 「ユダヤ教を語る」

ユダヤ教を語る

ユダヤ教を語る


ユダヤ人である著者が、祖父との思い出や、小さい頃からの思い出などを散りばめながら、ユダヤ教について語っている。


ユダヤ教には、過ぎ越しの祭りやヨムキプールやプリムの祭日などがあるそうで、それらの祭日がいかに重要か、そして思い出深く、ユダヤ教にとって何よりも中心となるものかが、読んでいて伝わってきた。
いつか機会があれば直接見学してみたいし、youtubeにいろいろ動画もあるみたいなので見てみたものだ。


また、ユダヤ教には、いわゆる隠遁や出家みたいなことはなく、ずっと現実の社会を大事にして生きていくそうである。


「世間にとどまって、われわれの時間に信仰の刻印を押せ」


というのがユダヤ教の基本的スタンスだという記述は、なるほどーっと思った。


また、唯一の神を深くユダヤ教が信じるということは、この世はでたらめや不条理であるだけではなく、人間は過去のあやまちを捨てることによって世界と人間を良くすることができるというメッセージと信頼なのである、ということも、なるほどと思った。


聖書の主題は、イスラエルの物語の中に神の律法を見出すことであり、聖書はいろんな内容を含むがすべての作者は聖霊である、ゆえに統一された内容になっている、ということが書かれてあり、ユダヤ教の立場からするとそうなのだろうと思った。


また、ユダヤ教は、律法やさまざまな儀式や祭日などの規定に服従するが、これを窮屈だと外部から批判する人もいるけれど、人間はなんらかの型に服従するものであり、大切なことは自分でその型を本当に納得して選択するかどうかで、ユダヤ教の型に服従していない人でも、えてして現代のありきたりの型に服従しているものだ、という指摘は、なるほどと思った。


ユダヤ教には613の戒律があるそうだが、失われた神殿儀式に関するものも多く、実際は24〜25ぐらいの戒律だそうである。
それにしても大変そうだが、そうした律法に服従することがあってこそ、おそらく他からはなかなかわからない、あのユダヤのエネルギーや不撓不屈さや天才性が発揮される部分もあるのだろう。


面白い一冊だった。