手島郁郎 「マタイ伝講話 第五巻」

マタイ伝講話 (第5巻)

マタイ伝講話 (第5巻)


今までの巻と同様、この巻もとてもためになった。


「心を尽くし」という言葉の意味は、「心の全てで」という意味だとのことで、なるほどと思った。


また、福音書におけるイエスは、豊かな感情と熱い心の持ち主で、決して悟り澄ました無気力な人間ではなかった、という話も、なるほどと思った。


また、神というのは、「あなたの神」、つまり他ならぬ自分自身にとっての神でなくてはならず、他人の神ではないということ。
つまり、自分の人生を通じて、自分を今に至るまで守り育んできた何か、その存在を愛し尊ぶことであり、理論や他人の神のことではない。
という話は、なるほどーっと思った。


また、愛は理由やなぜということは不要なことで、「他」に仕え愛することだという話も、なるほどーっと思った。


「内なるキリストに導かれ歩む」こと、すべて天に聞くことが信仰だという、著者の信仰の深さには、ただただ脱帽するのみ。


「愛とは開かれた魂」だということも、なるほどと思った。


また、神が死んだのではなく、人間の神経験が死んだのである、ということも、なるほどーっと思った。


自分だけで聖書を読んでいたのでは、なかなか気づけない、いろんな鋭い指摘や理解に満ちた、良い本だった。