- 作者: クライヴ・A.ロートン,Clive A. Lawton,大塚信,石岡史子
- 出版社/メーカー: 岩崎書店
- 発売日: 2000/06/01
- メディア: 大型本
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ナチスによるユダヤ人の大量虐殺、ホロコーストがなぜ起こったのかについて、数多くの写真とともに、とてもわかりやすくまとめてある。
あまりにも悲惨な写真と、不条理な出来事の数々に、しばし絶句せざるを得なかった。
銃で撃たれる前に祈りをささげるユダヤ人男性の後ろに立っているナチスの兵隊たちの、せせら笑うような残酷なへらへらとした顔が映っている写真を見た時に、どうして人間がこんなに残虐になれるのか、ただただ血が逆流するような思いがしてならなかった。
と同時に、当時、ユダヤ人の救出に力を尽くした人々のうちの数名について紹介されていて、杉原千畝ももちろん載っていた。
また、私は恥ずかしながら知らなかったのだけれど、当時のデンマークの国王のクリスチャン10世も、ドイツに占領されながらもドイツの圧力に屈することなく、断固としてユダヤ人差別の法律をつくることを拒否し、ユダヤ人を守り続け、ナチスが強制的にユダヤ人を捕まえようとすると、全員事前に中立国だったスウェーデンに脱出させたそうである。
また、スウェーデンの外交官だったラウル・ワレンバーグは、ハンガリーでユダヤ人の救出に尽力し、十万人ものユダヤ人の命を救ったそうである。
当時の歴史を読むと、人間に深い絶望を感じさせるナチスの歴史とともに、希望を感じさせてくれる人々や歴史もいる。
後世の私たちは、歴史をよく知って、前者のような人々ではなく、後者のような人々にあやかりたいと思って努力した時に、きっと絶望ではなく、希望が残っていくのだと思う。