オットー―戦火をくぐったテディベア (児童図書館・絵本の部屋)
- 作者: トミーウンゲラー,Tomi Ungerer,鏡哲生
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 2004/12/01
- メディア: 大型本
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オットーはテディ・ベアのぬいぐるみ。
デビッドという少年の誕生日のプレゼントだった。
デビッドには、オスカーという近所の親友がいた。
三人でいつも遊んでいたが、ある日、デビッドとその両親は、ユダヤ人ということで遠くに連れられていく。
デビッドはオットーをオスカーに託す。
オスカーはオットーを大切にする。
しかし、オスカーの父も戦争に兵隊として行くことになり、やがて街には空襲の爆弾が降り注ぐ。
ぬいぐるみのオットーは、爆弾の風に吹き飛ばされ、がれきの上に飛ばされていく。
それを見つけた、アメリカの黒人の兵隊のチャーリーが拾うと、その瞬間に銃で撃たれる。
オットーを貫通し、チャーリーも大けがをするが、オットーがたまたま間に入ってくれたおかげで、一命をとりとめる。
チャーリーはオットーに感謝し、アメリカに連れて行くが、いろんな経緯があって、オットーはボロボロになって、骨董品に売られて、ショーウィンドーに飾られている。
そこに、たまたま年をとったオスカーが通りがかり、驚いて骨董品屋から買い受けて、この奇跡的な出会いのことが新聞に記事になった。
すると、なんとデビッドが奇跡的に生きのびていて、新聞を見てオットーとオスカーに会いに来る。
そして、三人で再会を喜ぶ、という話だった。
デビッドの両親は強制収容所でなくなり、オスカーのお父さんは戦死し、お母さんは空襲で亡くなったということが語られるのを読んでいて、戦争は、ユダヤ人にとってはもちろん、ごく普通のドイツの庶民にとっても本当に災難以外の何ものでもない、苦しく悲しい出来事だったのだとあらためて思わされた。
ぬいぐるみのオットーの目から見れば、人種など関係ないし、変わらず三人の友情が続いたことこそが、本当の真実だったのだろう。