- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2004/12/23
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イエスの受難を描いた映画。
公開当時、あまりにも凄惨だと物議を醸していた。
たしかに、今回見て、本当にひどいと思った。
だが、これがリアルというか、かくもイエスはひどい凄惨な目にあったのだと思った。
福音書には、鞭打たれて、自ら十字架を担いで、十字架にかけられたことが、わりと淡々と文章で記されている。
しかし、本当はこのように、苦しみに満ちた出来事だったのだろう。
また、この映画を見ていていたたまれない気持ちがしたのは、イエスの母のマリアのことである。
もちろん、一番苦しかったのはイエスだったろうけれど、その苦しみをその場で見ていたマリアの苦しみや悲しみはいかばかりだったかと思うと、涙なしには見れない作品だった。
あと、マルコによる福音書にさらっと出てくる、たまたま通りがかかって、兵士に命じられてイエスの十字架を担いだシモンという人もこの映画に出てきて、イエスとともに十字架を担いでいく大変さがとてもよく描かれていた。
昨日読んだ遠藤周作の『イエスの生涯』によれば、十字架の重さは80kgぐらいあったそうである。
さぞかし、イエスもシモンも大変だったろう。
あと、十字架を担いで歩いていくイエスに水を与えようとしたヴェロニカも出てきた。
それにしても、シモンとヴェロニカと、あと遠くからイエスの様子を眺めるマリアらの他は、なんと冷淡で意地の悪い人間が多かったろうか。
人の苦しみを他人事と思い、嘲笑うような人間の心は、もうそれ自体、本当に悪魔なのだと思う。
そして、残念ながら、人間はともすれば、そういう恐ろしい残酷な心の持ち主なのだと思う。
私は別にクリスチャンではないけれど、何かのことがあれば、シモンやヴェロニカのような人でありたいと思った。
それにしても、この時代のイスラエルやローマ帝国の野蛮さは何だろうか。
イエスの凄惨な死と比べた時に、なんと釈尊の涅槃は安らかで平和だったろう。
どちらも人類の師として尊い方だと思うが、西洋に比べて東洋ののどかな平和さはありがたいものだとも思えた。
もっとも、イエスの生涯と生き方は、西洋であれ東洋であれ、万人の人の胸を打つものだろう。
いつか見ようと思っていたが、今日この映画を見ることができて良かった。