フォレスト・ガンプ

フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD]

フォレスト・ガンプ 一期一会 スペシャル・コレクターズ・エデ [DVD]

三年ぐらい前に、十数年ぶりに見た。

昔見たときは、人気のわりには、浅くていまいちと思ったのだけれど、ひさしぶりに見たら、けっこう面白かった。
そう思うようになったのはなぜだろう。

浅い中に深いものがある、
と感じるようになったのかもしれない。

人生は、風に漂うだけなのか、運命は決まっているのか、
それはよくわからないけれど、
それでも、意味があるかわからぬままに、
生き抜いてきたことを振り返ってみると、
きっとそこに何かがあった、何かがきっとある、
ということを感じさせてくれるような気がした。

主人公とヒロインは、それぞれ人生の軌跡からいうと、
アメリカにおける右と左を具現しているけれど、
主人公が子どものような心の持ち主なので、
そうした党派やイデオロギーをぜんぜん超越していて、
両方そのままに眺めて、ヒロインにも一途な愛を持ち続けるところが、この映画の良いところかもしれない。

時が経って、振り返ってみれば、
右も左も、大事なその国の歴史の一部だった、
人生の一部だった、ということがいえるのかもしれない。
どちらかだけでは、きっと語れない。

こうした手法で、日本の現代を振り返ってみるとどうだろう。
五十年代や六十年代だったら、面白いのができそうだ。

ただし、私が生まれ育った、八十年代や九十年代や、00年代は、そもそもあんまり右も左もなくなって、体制への抗議もなくなったから、ちょっとこうしたドラマはつくりにくいかもしれない。
もしつくるとすれば、ヒッピーつながりということで、ヒロインをニューエイジないし宗教遍歴者にして、ヒーローは、ビジネス界に、っていうことになるだろうか。それにオーム事件や阪神大震災やらを絡めて。
でも、あんまり面白くなるかはよくわからない。
イラク戦争をめぐることにおいても、ベトナム反戦のような大きな社会運動や対抗文化には、ついぞならなくて、ずるずるとした嫌なものになった。

振り返るだけで、それなりに誰にでもドラマがあって劇的だった、50年代や60年代に比べて、私たちの時代というのは、何か盛り上がりにもドラマにも欠けた、そうした時代だったのかもしれない。
いや、ずっと経ってみたら、そこにもきっと何か意味があったと見出せる時が来るのだろうか。