どっちが本当? 五百旗部先生の講演

朝日新聞の記事によれば、昨日大阪市内の講演で、復興構想会議議長の五百旗部先生が、菅総理を組織的対応が苦手だと批判したという。


「首相は組織的対応が苦手」五百旗頭・復興会議長が批判
http://www.asahi.com/national/update/0702/OSK201107020081.html


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東日本大震災の復興ビジョンを練った菅政権の「復興構想会議」議長の五百旗頭(いおきべ)真・防衛大学校長が2日、大阪市内であった社団法人日本私立大学連盟の学長会議で講演し、震災や福島第一原発事故への菅直人首相の対応について「組織的な対応が苦手」と批判した。
 有識者や被災地の首長らでつくる復興構想会議は4月に発足。五百旗頭氏は先月25日に復興策をまとめた会合で、「菅内閣は(復興構想会議に対する)完全な自由を保障し、いかなる介入もなかった」と菅首相を評価していた。
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ところが、同じ講演について、神戸新聞は以下のように伝える。


東北に防災科学の拠点を 五百旗頭さん講演 
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004232623.shtml


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今回の震災で自衛隊が約2万人を救助したことを取り上げ、「阪神・淡路で初動が遅かったという反省が生かされた」と評価。一方で「現場力に比べ、リーダーたる政府は組織的対応ができていない」と指摘した。
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これによれば、「組織的対応ができていない」の主語は、「リーダーたる政府」であって、菅総理ではない。
「リーダーたる政府」という言葉であれば、菅総理も含まれて批判されているかもしれないが、菅総理のみでなく、政府全体に対する批判であろう。
むしろ、総理の足を引っ張ってばかりいる閣僚についての批判の意味だったとも受け取れる。


これはおかしいと思って、上記の朝日新聞の記事をもう一度見直してみたら、


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菅直人首相の対応について「組織的な対応が苦手」と批判した。
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と記事の本文ではカギカッコは「組織的な対応が苦手」にのみついていて、これのみが五百旗部先生の発言内容の引用だということを示している。
つまり、朝日新聞の記事の本文では、主語は明示されていない。


にもかかわらず、記事の見出しでは、「首相は組織的対応が苦手」とカギカッコに首相を含めており、あたかも五百旗部先生が首相を名指しで批判したかのようになっているが、本当だろうか?


この講演の内容が動画や全文記事で出回れば、第三者も検証可能だが、今の所そうしたものはネット上に出回っていないようである。
なので、朝日の記事が正確なのか、それとも神戸新聞の方が正確なのか、現段階では私には判断がつかない。


しかし、どうも朝日の記事の見出しと本文のカギカッコの位置の違いを見ると、どうも神戸新聞の方が正確な内容なのではないかという気がしてきた。


朝日の記事は自分自身で、一か月前には五百旗部先生が菅総理を高く評価していたことを述べているのだから、神戸新聞の記事の発言との方が一貫性が見いだされるとも思われる。


できれば、第三者にも検証できるように、日本私立大学連盟の学長会議での五百旗部先生の講演の全文か動画を、ネット上に公開していただきたいし、あるいは正確な証言だけでも教えていただきたいものである。