「仏説五十頌聖般若波羅蜜経」の書き下し文をつくってみた。
今まで書き下し文はなかったようで、そのためかほとんど読まれていないお経だと思う。
とても簡潔に仏教のエッセンスを伝えているお経だと思うし、本文の中でこの経典を読誦すれば速やかに悟りをひらくと言われているのもなるほどと思う。
同じく短い般若経典である般若心経が、五蘊皆空を説くものの具体的な実践方法についてはほとんど何も説かないのに対し、五十頌聖般若波羅蜜経は、般若波羅蜜(智慧)と経中のさまざまな実践方法が一つであることを説いており、智慧の実現化としても智慧を磨くためにも八正道等が不可欠であることを説いている。
せめても、般若心経の十分の一でもよく読まれるようになれば、具体的な生き方として、仏教の精神や智慧が日本にも生きるのではないかと私は思う。
多くの人に読んで欲しい、すばらしい経典だと思う。
なお、この経典はある程度仏教に対する知識がないと、本文中に用語の説明がないため理解するのが難しいと思う(そのことは本文中にも指摘されている)。
そのため、用語解説を附記した。
合わせて読んでいただけると幸いである。
生きとし生けるものが幸せでありますように。
「仏説五十頌聖般若波羅蜜経」
西天訳経三蔵朝散大夫試鴻臚卿 伝法大師臣施護、奉り 詔(つつし)んで訳す
かくの如く我れ聞けり。一時、仏、王舍城鷲峯山中に在(ましま)しき。大苾芻(比丘)衆千二百五十人と倶なりき。皆な阿羅漢を得、諸もろの漏は已に尽き、復(ま)た煩悩無し。心は善く解脱し智慧に通達す。大龍王の如く諸もろの有結を断ず。重擔を去り除き所作すでに弁ず。已(すで)に利を逮得し、心は自在を得。
爾時(そのとき)、仏、尊者須菩提に告ぐ。
「もし善男子・善女人及び諸もろの声聞・縁覚ありて、学を修め無上の菩提を愛楽(あいぎょう)せん者、汝等の人は、この般若波羅蜜経を、聴受し読誦し分別し演説せば、速やかに正覚を獲るなり。
須菩提よ、この般若波羅蜜経は、方便を具足し一切に通達し、諸もろの仏・菩薩の甚深の法蔵なり。まさにかくの如く学びかくの如く修行せよ。
須菩提よ、もし菩薩摩訶薩あれば、この般若波羅蜜経を、随喜し、聴聞し、受持し、読誦し、まさにかくの如く学びかくの如く修行すべし。何を以っての故に。この経は一切の諸もろの仏・菩薩の阿耨多羅三藐三菩提の甚深の法蔵を広説すればなり。須菩提よ。またこの般若波羅蜜経は、あらゆる声聞の法・縁覚の法・菩薩の法・菩提分法、及び一切諸仏の一切の般若波羅蜜の法を、聚集し摂受すること、平等にして一の如し。」と。
爾時(そのとき)、須菩提、仏に白(もう)して言(もう)さく、
「世尊よ、云何(いかんが)所有(あらゆる)声聞の法・縁覚の法・菩薩の法・菩提分法、及び一切諸仏の一切の般若波羅蜜の法を、聚集し摂受すること、平等にして一の如くなりや。」と。
仏、須菩提に告ぐ。
「所有(あらゆる)布施波羅蜜。持戒波羅蜜。忍辱波羅蜜。精進波羅蜜。禅定波羅蜜。智慧波羅蜜。内空。外空。内外空。大空。勝義空。有為空。無為空。無変異空。無相空。自相空。有際空。無際空。性空。本性空。無性空。自性空。無性自性空。一切法空。四念処。四正断。四神足。五根。五力。七覚支。八聖道。四聖諦。四無色。八解脱。九分法。空解脱門。無相解脱門。無願解脱門。一切三摩地総持門。四智。五通。一切如来の十力。四無所畏。大慈。大悲。十八不共法。須陀洹果。斯陀含果。阿那含果。阿羅漢果。縁覚果。菩薩の一切道智。かくの如き一切の善法、一切の般若波羅蜜を、悉く皆(みな)聚集し平等に摂受して一の如くにして異なること無し。」と。
爾時(そのとき)、須菩提、仏の説く所を聞きて、世尊に白(もう)して言(もう)さく、
「今この経典は、一切善法・一切の般若波羅蜜多を聚集し摂受し、平等なること一の如くにして、甚深微妙なり。意趣は深遠なり。難解難知なり。」と。
仏、須菩提に言(いわ)く、
「かくの如し、かくの如し。汝の説く所の如し。須菩提よ。もし善根を種(う)えず諸悪の朋友にして、鈍根にして懈怠、無智にして愚癡、解少なく聞少なく、初学にして浅識、及び小乗を楽(ねが)い、智慧は狭劣なる者あれば、この般若波羅蜜経において、解し難く入り難くして、信受せず。汝等まさに知るべし。
復た次に須菩提よ、もし善男子・善女人ありて、この般若波羅蜜経において、随喜聴受し、読誦・演説し、過去・未来・現在の諸仏の持する如くなれば、久からずして速やかに阿耨多羅三藐三菩提を成ず。」と。
仏この経を説き已(おわ)んぬ。尊者須菩提、及び諸もろの菩薩、天・人・阿修羅等は、仏の説く所を聞きて、皆(みな)大歓喜し、信受し奉行せりき。
仏説五十頌聖般若波羅蜜経
【用語解説】
「布施」
与えること。菩薩は、いつも衆生に与え続けることを願い、実践するという。布施の中には、財施(物を与えること)、法施(智慧や教えを与えること)、無畏施(人々を不安から解放させ安心させること)の三つがある。
また、法施の中にさらに、世間法施(人や天の境涯に生じる教えや智恵を与えること)と出世間施(三十七菩提分法や三解脱門など、悟りに人を導く教えや智慧を与えること)とがある。
また、布施の中に「無財の七施」がある。
一、眼施:慈しみに満ちた優しいまなざしで、接すること。
二、和顔施:和顔悦色施ともいう。なごやかで穏やかな顔つきで人や物に接する行為。
三、愛語施:言辞施ともいう。優しい言葉、思いやりのある言葉を与えること。
四、身施:捨身施。自分の身体で奉仕をすること。
五、心施:心慮施。他のために心をくばり、心底から共に喜び共に悲しむことができ、他の痛みや苦しみを自らのものとして感じ取れる心持ち。心配り、気配り。
六、牀座施:座席を与えること。電車などで席を譲ってあげること。また、しかるべき人に適切な地位や役割を与えること。
七、房舎施:風や雨露をしのぐ所を与えること。
〈六波羅蜜〉
「持戒」
五戒(不殺生・不偸盗・不邪婬・不妄語・不飲酒)や十善戒(不殺生・不偸盗・不邪婬・不妄語・不綺語・不悪口・不両舌・不慳貪・不瞋恚・不邪見)などの戒めを守ること。
「忍辱」
忍耐。理の上に安んじて怒らないこと。無瞋・精進・信・慧の四つから成る。耐怨害忍(人から害を加えられても怒らずに忍耐する)、安受苦忍(天災や病気の苦しみを従容と耐え忍ぶ)、諦察法忍(因果の道理を理解してその上に安んじる)の三つの忍に区分される。このうち、諦察法忍が前二者を支える根本とされる。
「精進」
正しい努力。因果の道理(原因と結果の法則)をよく理解し、良い結果を生じるための良い原因をつくるように努める。四正断。
「禅定」
正しい瞑想、集中。サマーディ瞑想やヴィパッサナー瞑想。四禅、四無色定、滅尽定。
「内空」
六内処、つまり眼耳鼻舌身意の六根が空であること。つまり、認識の主観が空であること。
「外空」
六外処、つまり色声香味触法の六境が空であること。認識の対象が空であること。
「内外空」
内(主観)と外(客観・対象)によって構成される人間存在が空であること。身空、自身空。
「大空」
十方の世界が空であること。身所依処空。
「勝義空」
諸法の外に実相といわれるものの自性がないこと。涅槃の境界は経験的立場から見て空であること。第一義空。
「有為空」
有為法(現象世界)が空であること。
「無為空」
無為法つまり涅槃が空であること。
「無変異空」
変わらないものとされるものも空であること。
「無相空」
物事には固定的・実体的な姿がなく、形や特徴がない、ということ(無相)もまた空であること。
「自相空」
諸法のすがた、つまり自相も共相もすべて空であること。相空。
「有際空」
限りのあるもの、始まりのあるもの、有限の現象も、空であること。
「無際空」
始めなくして存在する一切の諸法がすべて空であること。
「無性空」
人(自我)と法(あらゆる現象)の両方が空である人法二空のゆえに、一物も執着すべきものがないこと。
「自性空」
性(諸法)の自性(実体)が空であること。すべての存在にそれ自体の固有の存在性はなく、個々の存在それ自体として独立するものはなく、他のもろもろの存在と無関係には成立しえないこと。
「無性自性空」
無性空などに説かれる無性もまた自性が空であること。
「一切法空」
一切の仏法が空であること。
「四念処」
さとりを得るための実践修行法のひとつ。人間は身(身体)・受(感受作用)・心(こころ)・法(存在を構成するもの)の四法において、浄・楽・我・常の妄見をおこしている。この妄見を破すために智慧により身は不浄、受は苦、心は無常、法は無我と観ずること。
「四正断」
四種の正しい努力のこと。四正勤ともいう。
一、律儀断。悪を生じないよう勤めること。
二、断断。すでに生じた悪を除こうと勤めること。
三、随護断。善を生ずるよう勤めること。
四、修断。すでに生じた善を増すように勤めること。
「四神足」
神通自在の禅定を得る四つの手立て。意欲(欲、法志欲)・精進・専念(心)・思惟の四つ。四如意足とも言う。
「五根」
信・精進・念・定・慧の五無漏根(五つの仏道実践徳目)をいう。これらは煩悩をおさえてさとりを開かせるすぐれたはたらきがあるから根といわれる。
「五力」
悪を破りさとりへと進ませる五つの力。信・精進・念・定・慧の五根に同じ。
「七覚支」
七菩提分と同じ。悟りを得るための七つの修行法。あるいは、悟りの七つの部分。
一、念覚支。心に明らかに憶(おも)いとどめて忘れないこと。 あるいは、サティ(気づき)。
二、択法覚支。智慧によって、法の真か偽かを選択すること。 気づきの深まりにより、行為の選択ができること。
三、精進覚支。一心に努力すること。
四、喜覚支。法をたのしみ喜ぶこと。 心が澄んで、喜び(ピーティ)が生じる状態。
五、軽安覚支。身心が軽やかで安らかなこと。
六、定覚支。心を集中して乱さないこと。 三昧(サマーディ)の状態。
七、捨覚支。心の興奮や沈滞がなく平静なこと。中捨。
「八聖道」
八正道と同じ。正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定。
正見:行為の果報があること、四諦を認識すること。
正思惟:不瞋恚思惟、不害意思惟、出離思惟。
正語:不妄語、不綺語、不悪口、不両舌
正業:不殺生、不偸盗、不邪淫
正命:正しい生活手段、正しい生計のこと。人や生命を害さない職業で身を立てること。
正精進:四正勤(四正断)のこと
正念:四念処のこと
正定:上記の七つを具えた上で、四禅に達し、悟りまで達する瞑想。
「四聖諦」
苦諦:苦があるという真理。一切は苦であるという真理。
集諦:煩悩が苦の原因であるという真理。煩悩や不善の行為が集まって苦となっているという真理。
滅諦:苦を滅することができるという真理。
道諦:苦を滅するための八正道という真理。
「四無色」
四無色定のこと。四禅からさらに禅定が深まった状態で、空無辺処・識無辺処・無所有処・非想非非想処の四つの、欲望も物質的条件も超越した、ただ精神作用のみの無色界の境地における禅定のこと。
「八解脱」
八背捨ともいう。
一、 内有色想外色解脱:自分以外のものについて不浄観を修める。
二、 内無色想外色解脱:一をなお継続して深め、心の中の色や形の観念も滅していく。
三、 浄解脱身作証具足住:一、二と逆に、物事の清浄性を研究し、浄解脱を身に証する。
四、 空無辺処解脱:色と形を離れ、無辺なる空間に意識を集中する。
五、 識無辺処解脱:意識の果てしない無限性に意識を集中する。
六、 無所有処解脱:我も我の所有するところもなく、一切所有のない所に意識を集中する。
七、 非想非非想処解脱:意識もなく意識しないところもないというところに意識を集中する。
八、 滅受想定解脱身作証具足住:想念も感受作用も滅した状態。滅尽定。
(一、二は四禅のうちの初禅と二禅。三は四禅。四、五、六、七は四無色定にそれぞれ相当する。)
「九分法」
九部経のこと。修多羅(経)・祇夜(重頌)・記別(授記)・伽陀・優陀那(感興語)・如是語(本事)・本生譚・方広・未曾有法。仏教の経典の分類の仕方。(さらに他に三つ分類が加わったものを十二部経と呼ぶ。)
あるいは、九次第定、つまり四禅・四無色定・滅尽定の禅定のこと。
〈三解脱門〉
「空」:ものごとはそれ自体としては存在せず、縁起によってできていること。我と我所が存在しないと認識すること。
「無相」:五感の対象による認識の汚れがないこと。我と我所が本当は存在しないことを知り、五感の対象への束縛から自由であること。
「無願」:貪瞋痴による願いがないこと。我と我所が本当は存在しないことを認識し、輪廻の原因となる貪瞋痴から自由であること。
「一切三摩地総地門」
一切にサマーディ瞑想(三昧、高度の集中力)を発揮し保つ陀羅尼(総持)。名号。
「四智」
大円鏡智:大きなくもりのない鏡のようにすべての事象をありのままに照し出す智。
平等性智:すべての事象は平等であると知る智。
妙観察智:すべての事象をありのままに観察する智。
成所作智:なすべきすべての事をなしとげ衆生を救済する智。
「五通」
五神通のこと。天眼通・天耳通・宿命通・他心通・神足通をいう。これに漏尽通を加えて六神通という。
「十力」
仏が具えている十種の力。
一、処非処智力。道理・非理を知る力。
二、業異熟智力。業とその果報との因果関係を知る力。
三、静慮解脱等持等至智力。禅定や三昧を知る力。
四、根上下智力。衆生の能力や性質の優劣を知る力。
五、種種勝解智力。衆生の意欲や望みをあきらかに知る力。
六、種種界智力。衆生の本性を知る力。
七、遍趣行智力。衆生の人・天等の諸世界に趣く行の因果を知る力。
八、宿住随念智力。自他の過去世のことを思い起す力。
九、死生智力。衆生の未来の生死・善悪の世界を知る力。
十、漏尽智力。煩悩を滅した涅槃の境地と、それに到達するための手段を知る力。
「四無所畏」
正等覚無所畏。一切の法をさとっているとの自信。
漏永尽無所畏。煩悩をすべて断じ尽したという自信。
説障道無所畏。さとりをさまたげる法(煩悩)を説いて畏れなき自信。
説出道無所畏。さとりに入る正道を説いたという自信。
「大慈」:「生きとし生けるものが幸せでありますように」と強く願う心。衆生に楽や喜びを与えようとする心。
「大悲」:「生きとし生けるものの悩み苦しみがなくなりますように」と強く願う心。衆生の苦しみを抜いてなくそうとする心。
「十八不共法」
一、身無失。
二、口無失。
三、念無失。
(身・口・意の三業について過失のないこと)
四、無異想。 衆生に対する平等心。
五、無不定心。 禅定による心の安定。
六、無不知捨心。 すべてを包容して捨てない心。
七、欲無減。
八、精進無減。
九、念無減。
十、慧無減。
(衆生済度の欲と精進と念力と智慧とについて減退することのないこと)
十一、解脱無減。 解脱からあともどりしないこと。
十二、解脱知見無減。 一切の解脱について明らかな知見を有し、欠けることのないこと。 十三、一切身業随智慧行。
十四、一切口業随智慧行。
十五、一切意業随智慧行。
(衆生済度のため智慧の力で身・口・意の三業を現ずること)
十六、智慧知過去世無碍。
十七、智慧知未来世無碍。
十八、智慧知現在世無碍。
(過去・未来・現在の一切のことを悉く知り尽してとどこおりのないこと)。
須陀洹果:預流果のこと。悟りの第一段階。有身見(自分を実体のあるものとみる間違った見解)、疑(仏法に対する疑い)、戒禁取見(間違った不必要な戒めや儀式への執着)の三結が消滅する。七回生まれ変わる間に必ず最終的な悟りに達する流れに入る。
斯陀含果:一来果のこと。預流果からさらに怒りや欲望が弱まる。あと一度生まれ変わる間に悟りに達することになる。
阿那含果:不還果のこと。怒りと欲望が滅する。
阿羅漢果:無知が滅する。悟りの四段階。
縁覚果:縁覚(独覚、辟支仏)の悟り。
一切道智:菩薩が、あらゆる生命に対し、それぞれに適した形で巧みに説法や教化を行うことができる智慧。
あるいは、道種智(菩薩の化道(衆生を教化すること)の智慧)・一切智(あらゆる現象を包括的に知る智慧。平等の相に即して認識する智慧。平等性智)・一切種智(それぞれの衆生や現象の種類差別を知って錯誤することない智慧。別相を知る智慧。差別智。妙観察智や成所作智。)の三智のこと。
(原文)
仏説五十頌聖般若波羅蜜経
西天訳経三蔵朝散大夫試鴻臚卿
伝法大師臣施護奉 詔訳
如是我聞。一時仏在王舍城鷲峯山中。与大苾芻衆千二百五十人倶。皆得阿羅漢。諸漏已尽無復煩悩。心善解脱通達智慧。如大龍王斷諸有結。去除重擔所作已弁。逮得已利心得自在爾時仏告尊者須菩提。若有善男子善女人及諸声聞縁覚。愛楽修学無上菩提者。汝等之人。於此般若波羅蜜経。聴受読誦分別演説速獲正覚。須菩提。此般若波羅蜜経。具足方便通達一切。諸仏菩薩甚深法蔵応如是学如是修行。須菩提。若有菩薩摩訶薩。於此般若波羅蜜経。随喜聴聞受持読誦。応如是学如是修行何以故。此経広説一切諸仏菩薩阿耨多羅三藐三菩提甚深法蔵。須菩提。又此般若波羅蜜経。所有声聞法縁覚法菩薩法菩提分法。及一切諸仏一切般若波羅蜜法。聚集摂受平等如一。
爾時須菩提白仏言。世尊。云何所有声聞法縁覚法菩薩法菩提分法。及一切諸仏一切般若波羅蜜法。聚集摂受平等如一。
仏告須菩提。所有布施波羅蜜。持戒波羅蜜。忍辱波羅蜜。精進波羅蜜。禅定波羅蜜。智慧波羅蜜。内空。外空。内外空。大空。勝義空。有為空。無為空。無変異空。無相空。自相空。有際空。無際空。性空。本性空。無性空。自性空。無性自性空。一切法空。四念処。四正断。四神足。五根。五力。七覚支。八聖道。四聖諦。四無色。八解脱。九分法。空解脱門。無相解脱門。無願解脱門。一切三摩地総持門。四智。五通。一切如来十力。四無所畏。大慈。大悲。十八不共法。須陀洹果。斯陀含果。阿那含果。阿羅漢果。縁覚果。菩薩一切道智。如是一切善法。一切般若波羅蜜。悉皆聚集平等摂受。如一無異。
爾時須菩提。聞仏所説。白世尊言。今此経典。聚集摂受一切善法。一切般若波羅蜜多。平等如一。甚深微妙。意趣深遠。難解難知。
仏言須菩提。如是如是。如汝所説。須菩提。若有不種善根諸悪朋友。鈍根懈怠。無智愚癡。少解少聞。初学浅識。及楽小乗。智慧狭劣者。於此般若波羅蜜経。難解難入。而不信受。汝等当知。
復次須菩提。若有善男子善女人。於此般若波羅蜜経。随喜聴受。読誦演説。如持過去未来現在諸仏。不久速成阿耨多羅三藐三菩提。仏説是経已。尊者須菩提。及諸菩薩。天人阿修羅等。聞仏所説。皆大歓喜。信受奉行。
仏説五十頌聖般若波羅蜜経