【自然エネルギーに関する「総理・国民オープン対話」】(6月19日)を視聴して メモ

さきほど、【自然エネルギーに関する「総理・国民オープン対話」】をインターネットから視聴した。
http://www.kantei.go.jp/live/20110619.html


前回の、6月12日の【自然エネルギーに関する総理・有識者オープン懇談会】はネットからリアルタイムでのべ15万人参加、1万5千人が質問したとのこと。


今回は、前回の質問をさらに取り上げながら、四つの地域とつないで対話するという展開だった。


興味深かった点は、


・防災拠点を自然エネルギーを動かすことができれば、それが身近なところにあれば
コミュニティの育成にもなるという意見へ、菅総理が政府が後押ししたいと述べたこと。


・送電のありかたの改革に関して、菅総理が、電力行政のありかたを根本から議論する今は良い機会だと述べたこと。


・一部メディアでパフォーマンスという声もあるが、発送電分離への決意については、菅総理は、30年前、アメリカで風力発電を民間が気軽に売っているのを見て以来で、その時に日本には電気事業法で壁があることを知って、ずっと思い続けてきたことで、パフォーマンスというより、かなり長い間思いの強いものだと述べていたこと。


・低エネルギーに経済社会をパラダイムシフトする必要があるという意見に対し、菅総理は、積極的な意味でパラダイムシフトをし、今の快適な生活を維持しながら、エネルギーを少なく使うことができる、雇用を通じて、風力で経済や産業を大きくすることもできる、といったことをデンマークなどの事例を引いて述べていたこと。

自然エネルギーの成長を阻んできたものは何か、という質問に対し、菅総理が、コストが高いと今まで見られてきたこと、30年前、風トピア計画というの科学技術庁で研究していて、結局全部コスト採算がとれないと、逆の否定のお墨付きを与えてしまったこと、しかし、その間ヨーロッパでは増えてきたことを挙げ、
コストが高いということでとめてしまったことは、行政の意図があったと明言したこと。



・エネルギー政策を扱う省庁、たとえば経産省農水省環境省と、NPONGOなど市民が、定期的にフォーマルな協議の場を設けることはできるでしょうか?という質問に対し、菅総理が、まず実験的にでもやってみたい、どういう形がありえるか、どんどんご提案を出していただきたい、と述べていたこと。


・総理の自然エネルギー促進と経産大臣の原発稼働は一致していないのでは?という質問に対し、菅総理は、浜岡は例外的特別な事情で停止した、他のところは安全性を確認して稼働していく、長期的にはどうエネルギーのありかたを選ぶかは議論する必要がある、政治の役割は10年後20年後にきちんと、自然エネルギーにするのか、原子力を続けるのか、選択肢をしっかりつくり、国民に選んでもらえるような選択肢をまず責任をもってつくることだと述べていたこと。


・常時安定発電ができない自然エネルギーの弱点をどう補うか、スマートグリッド、蓄電池に力を入れるべきという意見に対し、菅総理は、そのとおり、夏のピーク時に太陽は有効、いろんな組み合わせで安定化を図る、といったことを述べていたこと。


自然エネルギーの買い取り負担はドイツで国民負担を招いたが、どう考えるか?という質問には、菅総理は、その分、国民はたしかに高く払うが、これを負担と考えるか、投資と考えるか、と述べていたこと。


・イタリアのような国民投票は?という質問に、菅総理は、そうした選択ができるような、選択肢をしっかりつくりたいと述べていたこと。


・点検後の原発が再稼働できなかったら、電力不足で産業の空洞化が生じるのでは?という質問に対し、菅総理は、たしかに、その懸念はあるが、二点あって、ピーク時の電力不足の心配と、トータルとして自然エネルギーにシフトということがあるが、前者はなんとかめどがついてきているし、後者については長い目で見れば、経済界にもプラスになると考えている、と述べていたこと。


・経済的に非効率な再生可能エネルギー天然ガスよりも優先するのはなぜか?という質問には、菅総理は、天然ガスは相対的には化石エネルギーの中ではCO2は少ないが、やはり温暖化を考えれば、天然ガスに変えれば解決するということにはならない、なので天然ガスではなく自然エネルギーを推進する、ただ、石炭や天然ガスの効率利用技術も日本はとても技術が高い、中国の半分、三分の一の量でできる、これも省エネになる、と述べていたこと。


・総理と国民との対話これからも続けて欲しい、・復興支援や放射能についても、こういう会議ができないか、という問いに対しては、菅総理は、こうしたインターネットを使った形でやりたいと思う、と述べていたこと。


などなどだった。


また、途中で、宮崎駿さんがメッセージを寄せたことや、長野県の飯田市太陽光発電に全市を挙げて取り組んで大きな成果をあげつつあることを直接対話で市長さんや地元の方が述べられていたのも興味深かった。


最期に、菅総理が、「参加民主主義とあきらめないこと。この二つは、初出馬の時から、私の二つのキーワードなんです。自然エネルギーは、傍観でなく、参加型のエネルギー。あきらめず、やってみようという精神で、エネルギーと民主主義の精神は呼応しているし、呼応させながら取り組んでいきたいと思います。」ということを述べていたことも、なるほどーっと思った。


さらに、菅総理は、「物事を変えるには、権限と、アイデア・中身。なので、いろんな試みをしてみて、良いものが広がっていく。自分たちの経験を、社会に広げる、そういう提案型の交流に、この場がなっていけばありがたいです。」と述べていた。


第一回に比べて、今回の第二回は、最初の方で音声がハウリングを起こしたり、論点がやや拡散したような気もしないこともないが、試行錯誤を重ねる中でさらにそのような点は改善されていくと思う。
田坂参与も述べていたが、このような試みは画期的なものであり、選挙の時のみが民主主義ではなく、このような場を通して、参加し、発言し、提案し、責任を持っていくということが、直接民主主義であり、本当の民主主義の精神ということなのだと思う。
エネルギーの民主化には、こうした政治の仕組みそのものの民主化の工夫が必要と思うし、また政治の民主化や民主主義は、エネルギーの民主化をこそ促進すべきと思う。


また近いうちに、この続きを見たいものだし、私も今日のように、ネットを通して、参加したいと思う。