「文殊菩薩の質問と答え」 第十三章 菩薩の心がけ
(文殊師利問経 菩薩受戒品 第十三 現代語私訳)
「世尊よ、もし善い仏弟子の男女が、菩薩の道徳・戒めを受けて保とうとするならば、どのように心がけるべきでしょうか?」
「仏の前でまごころを尽くして礼拝し、このように述べなさい。
『さまざまなこの世界の如来・菩薩がたは、私を念じて記憶してください。
さまざまなこの世界の如来さまたちは、悟りの智慧によって何も執着することがなく、正しく観察して知悉してくださいます。
私、○○は、誓願します。
私は、いま、菩薩の心を起こします。
すべての生きとし生けるものを助けて幸福にするためです。
過去・現在・未来のさまざまな菩薩たちと同じように、このうえない道を求める心を起こします。
すべての生きとし生けるものに対して、自分の父や母のように、兄弟や姉妹のように、男女の親友のような思いを起し、このうえない悟りを求める心を起こします。
彼等が迷いの輪廻から解脱して脱出することができるように、さらには正しい悟りを求める心を起こして、奮起し精進努力するように手助けできるようにするためです。
それぞれの人や生命の必要に応じて、智慧のアドヴァイスや物質的な支援を与えられるようになり、それを実践することを願います。
この智慧のアドヴァイスや物質的な支援によって生きとし生けるものを包容し、少しずつ適切に生きとし生けるものを迷いの苦しみの連鎖から解脱し脱出させるためです。
さらには、このうえない悟りの境地に、それらの人々や生命を安らかに住まわせるためにです。
私はいま立ちあがって精進します。
私は、不放逸に努力し、このように再三、再四、繰り返し誓願し、実践し、努力します。』
以上の心がけを、菩薩が悟りを求める心を起こす最初の一念、菩薩の初心といいます。
文殊菩薩よ、この心がけ・菩薩の初心は、さまざまな菩薩が起す心であり、菩薩となるために実践することです。
生きとし生けるものを救うために悟りを求める心を起こさない仏弟子や、凡夫や、さまざまな善くない人々になるために起す心ではありません。」