現代語私訳 善導大師 「般舟讃」(念仏讃歌) 第二十一節
観音菩薩の御姿の特徴は、阿弥陀如来と異なるところはありません、
(浄土への往生を願います)
生きとし生けるものをあらゆる菩薩の中で最も強力な慈悲で救っておられます、
(はかりしれない喜びよ)
念仏三昧の喜びよ、
(浄土への往生を願います)
観音菩薩は、釈尊の教えになんら背くことはなく、阿弥陀如来を念じさせており、
(はかりしれない喜びよ)
浄土と娑婆世界は遠く隔たっていますが、娑婆世界の苦しみを救い、
(浄土への往生を願います)
誰かが急に念じても、その時にすぐに応じて来てくださいます、
(はかりしれない喜びよ)
場合によっては、阿羅漢や他の菩薩の姿となって現れて、
(浄土への往生を願います)
その人の縁に従って、その人が願う姿で現れて、生きとし生けるものを救っておられます、
(浄土への往生を願います)
あわれみの心で生きとし生けるものの苦しみを取り去って三界から脱出させ、
(浄土への往生を願います)
慈しみの心で喜びや楽しみを与えて涅槃を願うようにさせます、
(はかりしれない喜びよ)
観音はそれぞれの人に応じて現れるので異なった身で現れることがあります、
(浄土への往生を願います)
その身を六道に分けて、さまざまな機根のものをその時に応じて救います、
(はかりしれない喜びよ)
礼拝し念じて、観音の身を観想すれば、罪業の障りを取り除いてくださいます、
(浄土への往生を願います)
これはただただ観音菩薩の願いと慈悲が極まりないからこそです、
(はかりしれない喜びよ)
あらゆる時において宇宙のさまざまな縁において寄り添い、
(浄土への往生を願います)
六道のすべてをおさめとって、その身の中にあらゆる姿を現します、
(はかりしれない喜びよ)
生きとし生けるもののことを眼に見、耳に聞き、常に心にかけてくださっています、
(浄土への往生を願います)
生きとし生けるものの声に応じてその苦しみを救うことは、ほんの一瞬の間のことです、
(はかりしれない喜びよ)
観音が頭にかぶっている冠の中の阿弥陀如来の化仏は千里の高さです、
(浄土への往生を願います)
阿弥陀如来の慈悲の御恩に報いるために観音は常にこの冠をかぶっています、
(はかりしれない喜びよ)
眉間の白毫には七つの宝石の色があり、
(浄土への往生を願います)
ひとつひとつの色には八万四千の光があり、
(はかりしれない喜びよ)
それぞれの光の中には化仏や菩薩たちがおられて、
(浄土への往生を願います)
浄土の世界の中で神通力を発揮しながらあまねく満ちておられます、
(はかりしれない喜びよ)
観音の御身体からは光明が放たれ、純粋な金色をしています、
(浄土への往生を願います)
内も外も照り映え透きとおり、明らかな鏡のようです、
(はかりしれない喜びよ)
あらゆる光明は宝石を散りばめた胸飾りのようで、
(浄土への往生を願います)
身体中に鈴や飾り玉のように身について輝いています、
(はかりしれない喜びよ)
両手はしなやかでまろやかでさまざまな花の色をしており、
(浄土への往生を願います)
いつもこの手で生きと生けるものに接しておられます、
(はかりしれない喜びよ)
足をあげれば千輻輪相が浄土の地面に印され、
(浄土への往生を願います)
足をおろせば金色の蓮の花が世界に満ちます、
(はかりしれない喜びよ)
本国である浄土、あるいは別の世界のどこでも、観音が歩いたり坐ったりした場所で、
(浄土への往生を願います)
観音に触れた者はすぐに生と死の二つを離れた悟りを開きます、
(はかりしれない喜びよ)
不退転の位に入る前も、入った後も、本当はもともとどちらもひとつです、
(浄土への往生を願います)
機根がどれだけすぐれているかに随って、菩薩の位ははるかに大きくなっていきます、
(はかりしれない喜びよ)
どの瞬間の思いの中においてもいつも悟りを得て、
(浄土への往生を願います)
まだ十分に物事を成し遂げて達成できていない時でも、適切な悟りを得ます、
(はかりしれない喜びよ)
念仏三昧の喜びよ、
(浄土への往生を願います)
この命が尽きるまで、同じく念仏往生を願う者たちと誓い合って、退転してはなりません、
(はかりしれない喜びよ)
このように喜びに溢れた地を自由に過ごすのです、
(浄土への往生を願います)
いったいこの上何を貪ってどこか別のところに生まれ変わることを求めるのでしょうか、
(はかりしれない喜びよ)
観音は、生きとし生けるものの苦しみを救うためにその身を分けて、平等に教化します、
(浄土への往生を願います)
教化することができたら、すぐに阿弥陀如来の浄土にその者を送ってくださり、
(はかりしれない喜びよ)
生きとし生けるものは皆すべて観音の大いなる慈悲の御働きを受けています、
(浄土への往生を願います)
粉骨砕身、慚愧し感謝して、観音の慈悲の御恩に報いなさい、
(はかりしれない喜びよ)
念仏三昧の喜びよ、
(浄土への往生を願います)
観音が導いて阿弥陀如来に引き合わせてくださいます、
(はかりしれない喜びよ)