菅首相「回復と再生に向けた日本の道」は素晴らしい内容と思う

菅首相原発事故で遺憾表明…米紙などに寄稿
(読売新聞 - 04月17日 17:39)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110417-OYT1T00465.htm


私は、この菅首相の寄稿文の内容は、読んで素晴らしいものだと思った。

“Japan’s road to recovery and rebirth”
http://www.washingtonpost.com/opinions/japans-road-to-recovery-and-rebirth/2011/04/14/AF9CJ2kD_story.html


読まずに批判している人々がこのニュースについてのブログを見ると随分多いようだが、何かを批判する場合はまずその対象についてきちんと把握し、理解してからにすべきだろう。

この文章の中で、菅首相は、震災についての世界各国の支援に率直に感謝し、アメリカからの協力や支援、”Kizuna”に感謝した上で、

日本政府が、以下の三つの原則のもとに、事態の解決に努力してきたことを述べている。

一、 すべての市民の、特に原発の付近の住民の、安全と健康を最優先に扱うこと
二、 徹底的な危機管理を行うこと
三、 将来のあらゆる状況に対応するための準備を十分にするために、あらゆる可能なシナリオを計画考慮すること。

そして、この原則に基づき、食品等の安全性の確保や情報公開に取り組んできたこと、さらに努めることを述べている。

以上が前半の大まかな内容だが、後半はとても素晴らしい内容と思うので、直接訳してみたい。
拙い訳で、ところどころ不正確かもしれないが、だいたいこんな内容である。


「日本政府が迅速に徹底的に事故原因を検証し、将来においてこのような出来事を防ぐのに役立つよう、情報および学んだ教訓を世界各国と共有することを、私は約束します。
そのようなプロセスを通じて、原子力発電の安全性を高める世界的な議論に、前向きに貢献します。
ところで、大局的なエネルギー政策に関して、真正面から二つの方面へのチャレンジに、私たちは取り組まなければなりません。
つまり、世界のエネルギー需要の伸びに対する応答と、地球温暖化に対抗するために温室効果ガスの排出を削減するための努力を行うことです。
今後、クリーン・エネルギーの積極的な促進を含んだ、世界のエネルギー問題を解決することに貢献するであろう、世界に対する明確なビジョンを提示したいと思います。

東日本大震災とその結果起こった津波は、日本が第二次世界大戦終結以来直面した最悪の自然災害です。
大打撃を受けた東北地方の再建は簡単ではありません。
しかしながら、この困難な時代が「日本の再生」を確かにするための貴重なチャンスを私たちに与えると信じています。
政府は、以下の三つの原則に基づいて、東日本の最も精緻な復興計画を樹立する能力を、世界にはっきり示すことに打ち込みます。
1、 自然災害に対して最高度の耐久性を持った地域社会をつくりだすこと。
2、 地球環境と調和して人々が生活できる社会システムを樹立すること。
3、 人のことを気づかう、特に弱い立場の人々を気づかう、思いやりある社会を築くこと。

日本人は、第二次世界大戦の焦土の中から立ち上がり、日本の強い底力を用いながら、著しい回復、そして国家の現在の繁栄を確かなものにしてきました。
日本がこの危機に打ち勝つであろうこと、そしてこの災害の余波から回復し、かつてよりも強く浮上し、より活気に満ちたより良い日本を将来の世代のためにつくるであろうことを、私は微塵も疑っていません。

私たちに差しのべられた強い絆と心のこもった友情に恩返しするための、日本にとっての最良の道は、国際社会の進歩に貢献し続けることだと私は信じています。
そのために、将来に向かって明るい希望を人々に与える、前向きな復興を実現するために、私は持てる力のベストを尽くして働きます。
貴国の継続的な御支援と御協力に心からの御礼を申し上げたいと思います。
ありがとう。」


クリーン・エネルギーの積極促進。
世界との情報共有。
日本の底力への確信と復興への確信。

これらは非常に素晴らしいことだと思う。
自然災害に備えた、そして環境と調和した、さらには人間に対して優しい社会という三つの復興のための指針も、これからの日本の指針として大事なものだと思う。

日本は、かつてしばしば「顔のない国」と呼ばれた。
メッセージをきちんと発信せず、何を考えているかわからない国とよく非難された。
英文で、きちんとしたメッセージを海外のメディアに首相が自ら寄稿して発信することは、日本のメッセージをきちんと発信し、日本の考えや顔をはっきり知ってもらうために、とても大事なことだと思う。

菅首相の「回復と再生に向けた日本の道」は、きっと世界の人々にも共感をもって迎えられるのではなかろうか。
これらを空文化させないように、これらの内容をきちんと把握し、各自できるところで努めることが、世界の人々への恩返しにもつながっていくのではないかと思う。