マスコミのミスリードや態度の問題

首相「つぶれる」発言否定せず
http://mainichi.jp/photo/news/20110413k0000m010078000c.html

いや、その箇所、詳細に正確に読めば、
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201104/12kaiken.html

<<
 私は現在、総理大臣という重い役目を担っているわけですが、こういう大震災あるいはこういう危機において、まずやらなければならないことは、大震災で言えば人命の救出などに対して最大の力を発揮できる態勢をつくること。例えば具体的に言えば、自衛隊を一日、一時間、一秒たりとも早く現場に急行してもらう。そういったことについて、この大震災発生以来、全力を尽くしてきましたし、現実にそうした行動を取ってまいりました。
 そういった意味で現在、官房長官を中心に、いろいろな事態についてはしっかりと国民の皆さんに説明をいたしているところでありまして、内閣の役割分担というのはいろいろありますけれども、少なくとも国民の皆さんに必要な、あるいは必要とされる情報についてはしっかり提供している。このように考えております。
 また、私とお会いになった方がいろいろ、私が言っていたということをマスコミの皆さんにおっしゃるケースがありますけれども、こういう非常に緊迫した状況の中ですので、私からは少なくともそういったことを何か申し上げたことは、あるいは説明をしたことはありません。
 ただ一般的に言えば、この原子力事故というものが極めて重大であるという認識は、この場でも申し上げましたし、これまでも申し上げてきましたから、そういった認識について何らかの表現をしたことはあるかもしれませんが、そういう認識を持っていたということは、それはそのとおりです。
<<


つまり、

「また、私とお会いになった方がいろいろ、私が言っていたということをマスコミの皆さんにおっしゃるケースがありますけれども、こういう非常に緊迫した状況の中ですので、私からは少なくともそういったことを何か申し上げたことは、あるいは説明をしたことはありません。」

と明確に否定しているのではないか。

菅さんが否定していないのは、「原子力事故というものが極めて重大であるという認識」についてのみだ。

菅さんの言葉を誤読したのか、あるいは意図的にミスリードしているのかは、よくわからないけれど、ちょっとこの問題に限って言えば、毎日新聞のこの取り上げ方はかなり疑問だ。

とはいえ、毎日は、まだしもマシな方なのかもしれない。

テレビで総理の記者会見を見ていて、ちょっと驚いたのは、産経新聞の質問の仕方だった。


<<
(記者)
 産経の阿比留です。
 先ほど総理は、辞任をする選択肢はあるのかという時事通信さんの質問にお答えになりませんでしたが、現実問題として、与野党協議にしても最大の障害になっているのが総理の存在であり、後手後手に回った震災対応でも総理の存在自体が国民にとっての不安材料になっていると思います。一体、何のためにその地位にしがみ付いていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。


(菅総理)
 阿比留さんの物の考え方がそうだということと、私が客観的にそうだということは必ずしも一致しないと思っています。先ほど来、申し上げていますように、震災が発生して、即座に自衛隊の出動をお願いし、多くの方を救済いただきました。また原子力事故に対しても、大変な事故でありますから、それに対してしっかりとした態勢を組んで、全力を挙げて取り組んできているところでありまして、私とあなたとの見方はかなり違っているとしか申し上げようがありません。
<<


良くも悪くも、日本の言論の自由というのはすごいものだと思った。
一国の首相に対して、オフレコでもなく、こうした正式なテレビ報道される記者会見の場で、このような口調で質問できるとは、良くも悪くも我が国の言論の自由が放縦や節度を欠いていると昔の時代の人が見たら感じるほどの域まで達していることを明白に物語ることだろう。

正直、私は驚いたし、同じ内容を質問するとしても、普通はもっと言い回しや表現に注意して礼節や穏当さを損なわぬように質問するものではないかと思った。
いやしくも一国の首相に対しての質問である。

しかし、今の日本においては、産経の記者の質問の仕方に対しては違和感を感じずに、むしろ誉めそやし、菅首相を叩く方に血道をあげて喜ぶ人々が多いのだろうか。

これで日本には言論の自由がないとか、記者会見で都合の悪い質問はなされないと言っている人々がいるのだから、驚く。
どれほどの言論の自由と、俗悪さと、品性の破壊と、悪意と悪罵が蔓延すれば、それらの人々は満足するのだろう。

菅総理は、復興ビジョンとして、

1、自然災害に対して強い地域社会をつくること。
2、地球環境と調和した社会システムを構築すること。
3、人にやさしい、特に弱い人に対してやさしい社会をつくり上げること。

の三つを、この記者会見で掲げていた。

それと合わせて、我が国の言論の自由は誉められ守られるべきとは思うが、礼節や穏健さ、そして的確な根拠にもとづく理性というものも、復興のためにもう一度掲げられていいのではないかと思える。

マスコミが、政府要路の人間の発言を意図的にゆがめて発信したり、傍若無人な無礼極まる態度で質問し、それがおかしいと思われない俗悪な国家社会になったとしたら。
その点から変えないと、本当の復興にはならないのじゃなかろうか。


もちろん、首相や政府には、もっと丁寧にきちんと説明して欲しいことはあり、私も首相官邸のHPに今日は二、三質問を出してみたのだけれど、穏健に礼節を持って質問したり提案すればいい話のように思うのだが。