「大連立」不発 続く駆け引き
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110320k0000m010133000c.html
根回ししてから連立を持ちかけるべきだとマスコミや多くの人が言っている。
それは平時であればそのとおりかもしれないが、その点についてはどうしてもひとつの疑問がある。
18日の朝まで、枝野官房長官は109時間不眠不休で働いて、それからやっと休憩に入った。
枝野さんに先に休憩をとらせたあと、18日の夜に182時間ぶりに菅さんはやっと首相公邸に帰宅し、少し休憩をとった。
震災発生からこのように働きづめで、どうやって自民党や公明党と十分な根回しやすり合わせをして大連立を計るような時間やエネルギーの余裕があるのだろう。
他の民主党の閣僚も、首相や官房長官のように、今は粉骨砕身働いている。
首相補佐官の五人も枝野さんと同じで、18日の朝にやっと休憩に入っている。
自民が入閣を拒否するのは一理はある。
なので、私はべつにそのこと自体を批判したり責めようとは思わない。
ただし、十分な時間をかけて入閣や大連立をすればいいのに、などという意見は、状況や首相たちの行動がわかって言っているのか。
何を無理なことを言っているのだろうとしか思えてならない。
トップダウンとか、根回しが足りないとか、そういうことを言っている状況でないのは、もしきちんと事態や菅さんたちの動きを見ていればわかるはずだ。
アメリカの歴史学者のジョン・ダワーが、今回の震災を受けて日本人に向けて送ったメッセージに、以下のような一節がある。
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この悲劇によって、当面、日本では政治的ないさかいや行き詰まりは脇に追いやられています。これが続くことを祈りましょう。
菅直人首相が「戦後最も厳しい危機だ。この危機を乗り越えていけるかが全ての日本人に問われている」と表明したことは、米国でも広く伝えられています。
思わず身が引き締まります。
日本は過去にも、とてつもない破壊や災害に直面し、驚異的なまでに心をひとつにして、信じられないような創造力を発揮し、立ち向かってきたことを思い起こさせます。
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外国から見た方が、客観的に日本の様子が見えるのだろう。
党派心や、土台無理なことや、後知恵から、首相の批判ばかり繰り返す人がいまの日本には実に多い。
ダワーたち心ある海外の人から見れば、それらの人々の感覚や心はかなり従来の日本人とは違って見えるかもしれない。
ダワーは、おそらくそうした異論や分裂ばかり唱える日本人は、かつてのようにあまりたいして多くはなく、一致協力できると思っているようだ。
続けて、その手紙では、今までの日本がそうだったように、日本は必ず迅速な復興を成し遂げるだろうと述べている。
しかし、ダワーの手紙には、迅速な復興を日本がなしとげる驚異の力の前提条件として、
「驚異的なまでに心をひとつにして、信じられないような創造力を発揮し、立ち向かってきたこと」
が上記のように挙げられている。
本当に、今回我々は、それができるのだろうか。
そのための努力を、本当にしているのだろうか。
一人一人の声は小さく力は弱いものかもしれない。
しかし、そのひとつひとつの言葉や行為が集まって、社会の雰囲気やありかたをつくっている。
首相やがんばっている人たちに悪罵ばかり言う人々の集まりと、お互いにいたわり合い協力し応援しあう人々の集まりと。
どちらが良いだろう。
どちらが過去の日本の伝統や歴史に沿ったもので、どちらがそれにそぐわないものだろうか。