二つの疑問

菅首相が谷垣さんに入閣要請をしたが断られたそうだ。

このニュースに関するコメントをネット上でざっと見ると、菅首相に対する悪罵や責任転嫁だと批判するものが多いようである。

私はどっちもどっちだと思うし、谷垣さんが責任の所在が曖昧になるということも一理はあると思うが、二つ疑問がある。


まず、一つめの疑問は、自民党は震災以来、常に菅首相を鋭く批判し、危機管理がなっていないとか危機認識が足らないと言ってきた。

そうであるならば、政権の内部に入って、その優れた危機管理能力を発揮してみてはどうだろうか。

後知恵ならばなんでも言える。
自ら責任ある立場に立たずに、ただ外野からあと知恵で批判するだけならば、誰でもできる。
自民党がそうであるならば、昔の社会党や今の社民党とあまり変わらないだろう。

火中の栗をあらゆる悪罵を受けながら自ら拾った与謝野馨さんは、その点、かつての責任政党としての自民党の精神をよく現しているような気がする。
今の自民は、かつての自民のそうした精神はもはやないのだろうか。


ふたつめの疑問は、自民党は長年原子力政策を推進してきたわけで、このたびの事態の責任の、全てではないとしても、いくばくかは責任があるはずではないかということだ。
事態の収拾や復興に他人事ではない責任感を本来は持つべきではないか。

そもそも、共産党の指摘によれば、津波による原発の危険性はだいぶ前から国会で指摘したのに、結局自民党は放置してきたそうである。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-01/2010030101_05_1.html

もちろん、今現在与党である以上、民主党にこの事態の責任があることは当然であるが、と同時に、長年かつて与党であり、かかる事態を招くような事態を放置してきた自民党にも、責任の全てではないとしても一半はあろう。

関東大震災の直後、第二次山本権兵衛内閣は、「挙国一致」内閣として発足した。
超党派の首相級の人物を集めた閣僚の顔ぶれだった。
今の事態は、関東大震災とあまり変わらぬほどの国難と思う。
後藤新平のようなすぐれた力量をもった人物が、与党にいるならば与党から、野党にいるならば野党から、政権に入って大いに国のために尽くして欲しいと思う。

もちろん、谷垣さんが言うとおり、責任の所在をはっきりさせるためには、与野党の区分がはっきりした方が良いという考えもあろう。
亀井さんの救国内閣案は、その点よくわからない部分もあるし、谷垣さんの言う意見にも一理はある。

しかし、そうであるならば、以下のことは言えるのではないか。

政権に入らないならば、後知恵の批判は言わず、代替案や復興政策を用意して責任ある政権交代後の準備に入れ。
いろいろ後知恵の批判を言うぐらいならば、政権に入ってその力量を発揮してみろ。

そう思えてならないのだが、どうだろう。